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連載・特集

『生きて』 カメラマン 三浦憲治さん(1949年~) <1> 写真人生

ロックも時代も 面白く

 レッド・ツェッペリン、ピンク・フロイド、矢沢永吉…。広島市出身のカメラマン三浦憲治さん(74)は、数多くの国内外の著名アーティストを撮り続けてきた。ライブはもちろん、ジャケット写真も手がけ、ロックカメラマンの草分けといわれる。

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 ロックが好きだし、写真が好き。人を撮りたいし、時代の変化を写したい。いうならロック社会派カメラマン。でも見た目は、写真好きのおじいさんって感じだけど。撮りながらいつも「これを写真にしたらどうなるか」「この人どうなるのかな」が頭にある。思わぬ展開になることもしょっちゅう。だけど、それが楽しい。

  ≪女性誌や週刊誌、文芸誌も手がける。今も週1、2回、撮影に出かけ、他の日は写真選びなどの仕事に充てる≫

 歌舞伎も撮るし、広告やポスターもやる。まあ一貫性がないのよ。でも、このばらばらな感じがいい。いろんな仕事をするから頭の中のバランスが取れ、集中して仕事ができる。

 ≪2014年からは広島を写した写真展「ミウラヒロシマ」を開催。自身が見た古里広島の風景を切り取って紹介する≫

 写真一枚の面白さやおかしさもテーマ。すさんだ世の中で、くすっと笑ってもらうのも狙いだね。毎年、数千ある写真の中から選ぶのは大変だけど、面白さも同じくらいある。

 よく写真は「芸術か」と聞かれるが、俺のは違う。作家が作ったものが芸術品で、職人のが工芸品とするなら、俺は後者だ。俺の写真は世の中に何かを訴えるのではなく、「こういうすごいことがあったんだよ」という結果を伝えている。

 カメラを持てば恥ずかしさが消える。面白おかしくアンテナを張っていれば面白い人に出会える。カメラを構えると、目の前には俺だけの「一人映画」の世界が広がっているんです。 (この連載は編集センター・里田明美が担当します)

(2024年6月4日朝刊掲載)

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