核使用の違法性議論 広島で国際討論会 民衆法廷へ準備
24年6月9日
核兵器使用の違法性などを各国の専門家が議論する国際討論会が8日、広島市中区であった。米軍による原爆投下の責任を模擬裁判で問う「国際民衆法廷」の開催を目指している韓国の市民団体などが企画した。
「国際法に照らした核兵器使用の違法性」などのテーマで日本や韓国、欧米などの専門家計13人が意見を交わし、約200人が参加した。
明治大の山田寿則兼任講師は国際刑事法の観点で、「核使用がジェノサイド(民族大量虐殺)を意図していたことの立証が最大の関門とされてきた」と指摘。核保有五大国が2022年に発表した「核戦争に勝者なし」とする声明を紹介し、戦勝の意図がないなら「ひたすら敵国の大規模な破壊を目的としていると該当し得る」と説明した。
韓国・江原(カンウォン)大の呉殷政(オウンジョン)教授は、韓国で被爆者団体が結成された1967年の時点で、被爆者は米国の責任を問い、補償を要求していたと説明。2016年に平和記念公園(中区)で演説した当時のオバマ米大統領が、原爆投下を「空から死が降ってきて」と表現したことに触れ、「(米国は)責任に背を向けている」と強調した。
国際討論会は、昨年韓国で開かれたのに次いで2回目。26年に米ニューヨークで核拡散防止条約(NPT)再検討会議が開かれるのに合わせ、現地で民衆法廷を開くことを目指す。在韓被爆者を「原告」とし、原爆投下の違法性や核兵器廃絶を訴えるという。(下高充生)
(2024年6月9日朝刊掲載)
「国際法に照らした核兵器使用の違法性」などのテーマで日本や韓国、欧米などの専門家計13人が意見を交わし、約200人が参加した。
明治大の山田寿則兼任講師は国際刑事法の観点で、「核使用がジェノサイド(民族大量虐殺)を意図していたことの立証が最大の関門とされてきた」と指摘。核保有五大国が2022年に発表した「核戦争に勝者なし」とする声明を紹介し、戦勝の意図がないなら「ひたすら敵国の大規模な破壊を目的としていると該当し得る」と説明した。
韓国・江原(カンウォン)大の呉殷政(オウンジョン)教授は、韓国で被爆者団体が結成された1967年の時点で、被爆者は米国の責任を問い、補償を要求していたと説明。2016年に平和記念公園(中区)で演説した当時のオバマ米大統領が、原爆投下を「空から死が降ってきて」と表現したことに触れ、「(米国は)責任に背を向けている」と強調した。
国際討論会は、昨年韓国で開かれたのに次いで2回目。26年に米ニューヨークで核拡散防止条約(NPT)再検討会議が開かれるのに合わせ、現地で民衆法廷を開くことを目指す。在韓被爆者を「原告」とし、原爆投下の違法性や核兵器廃絶を訴えるという。(下高充生)
(2024年6月9日朝刊掲載)