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恩師の造形作品 届け平和の願い 廿日市で美術教諭務めた91歳吉野さんのアルミアート展 教え子ら企画 さくらぴあに30点

 廿日市市の中学校などで長年、美術教諭を務めた吉野誠さん(91)のアルミアート展が、同市下平良の文化ホールウッドワンさくらぴあで開かれている。昨年、高齢者施設に入り、制作活動が難しくなった吉野さん。平和への願いがこもる作品の魅力を感じてもらおうとかつての教え子たちが企画した。(菊本孟)

 アルミを紙のように畳むなど細工した造形作品約30点がミニギャラリーに並ぶ。原爆ドームの前でバイオリンなどを演奏する人の姿には鎮魂や反戦の思いがにじむ。赤や紫の空き缶を使って広島東洋カープやサンフレッチェ広島の選手の躍動する姿も表現している。

 吉野さんは、現在の庄原市西城町出身。武蔵野美大を卒業後、廿日市市の七尾中や廿日市中などで美術を教えた。1984年に51歳で退職した後も絵画やアルミアートなどを制作。終戦翌年の13歳の頃、中国東北部から家族と共に引き揚げた経験を胸に、平和への強い願いを発信してきた。

 今回、同市内の中学校で指導を受けた7人が中心となって作品展をかなえた。画家山本美次さん(75)=同市上平良=は「作品を通じて先生の人柄の温かさ、優しさに触れてほしい」と話す。

 5月に会場を訪れた吉野さんは教え子と再会し、思い出話に浸った。「懐かしいね。一生懸命(企画)してもらってうれしいね」と笑顔をはじけさせていた。作品展は9月30日まで。無料。

(2024年6月11日朝刊掲載)

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