フクシマ問う 土井敏邦監督の新作 映画「津島」 広島で来月
24年6月15日
「フクシマは終わったこと、なかったことにされてたまるか」―。2019年、そんな思いを込めてドキュメンタリー映画「福島は語る」を世に送った土井敏邦監督が、新作「津島 福島は語る・第二章」を完成させた。7月6~12日、広島市西区の横川シネマで上映される。
11年の原発事故に伴う放射能汚染で、古里の福島県浪江町津島を離れざるを得なかった住民たちへのインタビュー集。地区の大半は今も帰還困難区域のままで、補償や原状回復を求める住民の法廷での闘いも続く。土井監督はその裁判記録から「原発事故は住民の人生をこれほどまでに破壊したのか」と衝撃を受け、取材に駆り立てられたという。
登場人物の一人の今野義人さんは、行政の担当者に「あと100年は帰れないかも」と言われ、地域の記録誌「百年後の子孫(こども)たちへ」を仲間と作る。県内外に散らばった住民を訪ね、家族史や開拓などの地域史、方言などを聞き取った。「(地域をいつか)前の形にしてもらいたい」と願う。
伝統芸能「田植え踊り」の思い出を語る今野秀則さんは、演じた時の実感を「地域に伝わる長い歴史の一部に、自分もなったというか…」と表現し、声を詰まらせる。人々を歴史ごと古里から引き剝がした原発事故の罪深さを、あらためて突き付ける約3時間の長編だ。
各日午後0時半から。2200~1800円。横川シネマ☎082(231)1001。(道面雅量)
(2024年6月15日朝刊掲載)
11年の原発事故に伴う放射能汚染で、古里の福島県浪江町津島を離れざるを得なかった住民たちへのインタビュー集。地区の大半は今も帰還困難区域のままで、補償や原状回復を求める住民の法廷での闘いも続く。土井監督はその裁判記録から「原発事故は住民の人生をこれほどまでに破壊したのか」と衝撃を受け、取材に駆り立てられたという。
登場人物の一人の今野義人さんは、行政の担当者に「あと100年は帰れないかも」と言われ、地域の記録誌「百年後の子孫(こども)たちへ」を仲間と作る。県内外に散らばった住民を訪ね、家族史や開拓などの地域史、方言などを聞き取った。「(地域をいつか)前の形にしてもらいたい」と願う。
伝統芸能「田植え踊り」の思い出を語る今野秀則さんは、演じた時の実感を「地域に伝わる長い歴史の一部に、自分もなったというか…」と表現し、声を詰まらせる。人々を歴史ごと古里から引き剝がした原発事故の罪深さを、あらためて突き付ける約3時間の長編だ。
各日午後0時半から。2200~1800円。横川シネマ☎082(231)1001。(道面雅量)
(2024年6月15日朝刊掲載)