核保有の9ヵ国 23年14兆円支出 ICAN、推計報告
24年6月18日
非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))は17日、核兵器保有9カ国による2023年の核兵器関連支出が推計で914億ドル(約14兆4千億円)だったとする報告書を発表した。前年から108億ドル(約1兆7千億円)の増加。19年からの5年間では34%増に及ぶ。
ICANはこの現状を「急増」と警鐘を鳴らし、「約100カ国が核兵器禁止条約に署名する一方で、一握りの政府が大量破壊兵器に巨額の費用を支出している」と批判している。
報告書によると、政府の予算要求などを基に算出した米国の支出額は515億ドル。9カ国合計の約6割を占める。前年比でも17・8%増でトップ。内訳は核弾頭の維持、弾道ミサイルや戦略原子力潜水艦といった運搬装置の近代化などからなる。
次いで、核戦力の増強が指摘される中国が119億ドル。ロシア83億ドル、英国81億ドル、フランス61億ドル―と国連安全保障理事会の常任理事国が上位を占める。インド、イスラエル、パキスタン、北朝鮮を含め、いずれも前年から増加している。
報告書は、ハネウェル・インターナショナル、ノースロップ・グラマンなど主要20社が23年、核兵器の開発や管理で少なくとも300億ドルの収益を上げ、79億ドル分の新規契約に至ったとしている。これらの企業は同年、ロビー活動に1億1800万ドルを費やしており、核政策に影響を与えて各国の支出増を助長していると指摘する。
ICANは、政府予算や研究機関の報告資料などを基に各国の支出額を算出。情報が著しく不透明な中国については軍事費の4%を核兵器関連と見なし、北朝鮮は国民総所得(GNI)に占める軍事費の割合から推定するなどした。(小林可奈)
(2024年6月18日朝刊掲載)
ICANはこの現状を「急増」と警鐘を鳴らし、「約100カ国が核兵器禁止条約に署名する一方で、一握りの政府が大量破壊兵器に巨額の費用を支出している」と批判している。
報告書によると、政府の予算要求などを基に算出した米国の支出額は515億ドル。9カ国合計の約6割を占める。前年比でも17・8%増でトップ。内訳は核弾頭の維持、弾道ミサイルや戦略原子力潜水艦といった運搬装置の近代化などからなる。
次いで、核戦力の増強が指摘される中国が119億ドル。ロシア83億ドル、英国81億ドル、フランス61億ドル―と国連安全保障理事会の常任理事国が上位を占める。インド、イスラエル、パキスタン、北朝鮮を含め、いずれも前年から増加している。
報告書は、ハネウェル・インターナショナル、ノースロップ・グラマンなど主要20社が23年、核兵器の開発や管理で少なくとも300億ドルの収益を上げ、79億ドル分の新規契約に至ったとしている。これらの企業は同年、ロビー活動に1億1800万ドルを費やしており、核政策に影響を与えて各国の支出増を助長していると指摘する。
ICANは、政府予算や研究機関の報告資料などを基に各国の支出額を算出。情報が著しく不透明な中国については軍事費の4%を核兵器関連と見なし、北朝鮮は国民総所得(GNI)に占める軍事費の割合から推定するなどした。(小林可奈)
(2024年6月18日朝刊掲載)