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連載・特集

緑地帯 東繁春 ロサンゼルスの日本文化②

 ロサンゼルスで1998年に、タブロイド判8ページの英字新聞「カルチュラル・ニュース」の発行を始めた当初は、地元の日本企業から英文のプレスリリースを集め、それを基に新聞を作ろうと考えていた。ところが、日本企業から出るプレスリリースは少なく、また、内容も一般の米国人の関心を引くようなものではなかった。

 プレスリリースを集めていくうちに、ロサンゼルスの大学で一般公開の日本文化講座をやっていることや、「ロサンゼルス・カウンティー・ミュージアム・オブ・アート」という米国でも有名な美術館に日本美術専用のパビリオンがあり、定期的に日本美術展のプレスリリースが発信されていることを初めて知った。こうして「カルチュラル・ニュース」は、日本文化が中心テーマの英字新聞となった。

 最盛期には5千部を印刷し、日系コミュニティー・センターやお寺など10カ所以上に配布していた。郵送の有料購読を始めたところ、日系人、米国人、日本人が3分の1ずつという比率に。新型コロナウイルス禍を経て、現在はネット版の週刊ニュースレターに生まれ変わった。

 私は米国文化に憧れ、27歳でロサンゼルスに来た。「カルチュラル・ニュース」を創刊して、米国人の中に日本の伝統文化や日本美術の大ファンがいることを知り、日本を再発見した。米国に来て、私と同じような体験をした日本人は少なくない。(カルチュラル・ニュース編集長=ロサンゼルス、呉市出身)

(2024年6月19日朝刊掲載)

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