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オッペンハイマー謝罪 通訳証言の映像見つかる 広島被爆者と面会時 涙流す

 原爆開発の「マンハッタン計画」を主導した物理学者オッペンハイマーが、1964年に広島の被爆者と米国で面会し涙を流して謝ったと当時の通訳者が証言する映像が広島市西区のNPO法人に残されていた。

 映像は2015年、ワールド・フレンドシップ・センター(WFC)創立50周年の記録として撮影された。中区の縮景園で開いた記念式典出席者の証言を収めている。

 その中で、WFC創設者で米国の平和活動家バーバラ・レイノルズさん(90年死去)が提唱し64年に米ソなどを巡った「広島・長崎世界平和巡礼」参加者が登場。通訳として同行したタイヒラー曜子さん(19年死去)が、巡礼団の一人で物理学者の庄野直美さんらが非公表で会いに行った際のオッペンハイマー氏の様子を明かし、「涙滂沱(ぼうだ)たる状態」「『ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい』と本当に謝るばかりだった」などと述べている。

 レイノルズさんが開設に尽くした米ウィルミントン大平和資料センターには、巡礼の米側コーディネーターがオッペンハイマー氏に宛て、庄野さんが面会を熱望していることを伝える64年4月5日付書簡のコピーが残る。6月5日に庄野さんが「オッペンハイマー氏と約束(非公表)」などと記した巡礼団の行程表も見つかった。

 WFCの立花志瑞雄理事長は「残された資料からバーバラさんの壮大な構想や支えた草の根の熱意が伝わる。丁寧に光を当てていきたい」と話す。(森田裕美)

(2024年6月21日朝刊掲載)

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