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社説・コラム

朝凪(あさなぎ) 「うーとーとぅ」した?

 沖縄好きが高じて伝統芸能のエイサーを披露するサークルに入っていた大学時代。メンバーの約半数が沖縄県出身で「うちなーぐち(沖縄の言葉)」が飛び交った。ある日の練習後、先輩が「みんな今日うーとーとぅした?」と問いかけた。意味を尋ねると、神仏や先祖を拝む時に唱える言葉という。6月23日。太平洋戦争末期の沖縄戦で組織的な戦いが終わったとされる「慰霊の日」だった。

 沖縄の自然や文化が好き。でも、南の小さな島がたどった苦難の歴史を自分はどれほど理解できているだろう―。先日、沖縄在住のサークルの同期が広島を訪れ、久々に杯を交わした。懐かしい沖縄なまりで、米軍基地への複雑な胸中を初めて聞いた。

 戦後79年の慰霊の日が巡り来る。うーとーとぅし、あの戦争が沖縄に何をもたらしたのかを考えたい。(社会担当・山下美波)

(2024年6月21日朝刊掲載)

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