×

ニュース

「原爆の絵」 恐ろしさ伝える 基町高生

 広島市中区の基町高の生徒が描いた「原爆の絵」の完成披露会が28日、校内であった。被爆者から聞き取った当時の記憶や思いを絵筆に託し、後世に伝える作品に仕上げた。

 創造表現コースの16人が被爆者7人と昨年10月から取り組んだ。被爆して約1カ月後に息を引き取ろうとする母と姉や、山積みの遺体が火葬される様子を表現している。

 3年持田杏樹さん(18)は、原爆投下後の「黒い雨」が何か分からず突然の雨にはしゃぐ子どもたちを描いた。小河内村(現安佐北区)で雨を浴び、一昨年に国の新たな基準で被爆者に認定された迫田勲さん(86)=同区=の体験を基にした。

 原爆の絵を描くのが2回目の持田さんは「前回は8月6日を自分ごととして考えるよう心がけたが、今回は今日まで続く影響も考えさせられた」と振り返る。迫田さんは「私が記憶しておくだけでは残らない。絵を見て原爆の恐ろしさを感じてもらいたい」と語った。

 原爆資料館(中区)の依頼で同校の歴代生徒たちが2007年度から絵を描き、207点に上る。最新16点を含む約60点は8月10~28日に広島国際会議場(同)で展示される。(下高充生)

(2024年6月29日朝刊掲載)

年別アーカイブ