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核密約 外務次官に提出命令へ 「政権獲得後」 岡田幹事長が表明

 民主党の岡田克也幹事長は23日、米軍核搭載艦船の日本通過・寄港を容認していた核密約に関し、「きちんと出すよう命令すべきだ」と述べ、政権獲得した場合、外相が外務事務次官に関連文書の提出を命じる方針を表明した。また外務省側が応じず、実態解明できない場合は省外に調査機関を設ける考えを示した。国会内で共同通信のインタビューで語った。

 村田良平氏ら複数の元外務事務次官が核密約を認めた後も、政府は「密約はない」との説明に終始している。官僚主導で管理されてきた核密約を政治主導で解明するという岡田氏の方針は、政策決定をめぐる現在の「政と官」の関係是正を目指す党の姿勢を反映しているとみられる。

 岡田氏はまた、2001年4月の情報公開法施行前に核密約文書が破棄されたとの疑惑に関して「そういう事実があれば論外。保存義務があるものを破棄したとしたらルール違反だ」と言明した。

 岡田氏は元次官の証言について「次官OBが語っているということが、政治家に決断を迫っている。現職の官僚が核密約の存在を認めることは職責上、無理だと思う」と言明。政権を取れば「政治家の責任」で、「国内への説明と米国との約束」の間にある「食い違い」を修正する意向を強調した。

 また、外務省側が応じない事態を念頭に「必要があれば、省の外に(調査機関を)つくって徹底的に調べなければならない」と述べるとともに命令に従わなければ「職務命令違反になる」と外務省をけん制した。

「食い違い修正 政治家の責任」 岡田幹事長 一問一答

  ―問題の報道に何を感じましたか。
 外務事務次官OBがいろいろ語っているということが、政治家に決断を迫っていることと受け止めた。現職の官僚が核密約の存在を認めることは職責上、無理だと思う。国会で聞かれれば先輩の答弁を踏襲せざるを得ない。それを変えられるのは外相、首相でしかない。「ここは政治家の責任でやってください」というふうにも受け止めた。

  ―大臣を「選別」していたとの証言もありました。
 悲しいかな、それが現実。あきれる。「政と官」の力関係を如実に表している。

  ―政権を取ったら、どう真相究明を進めますか。
 まず「密約をちゃんと出せ」と外相が言わなければならない。これで(外務官僚が)出さなければ職務命令違反になる。

  ―文書破棄の問題も報じられていますが。
 そういう事実があれば論外。私は破棄してないと思っている。どこかにあると思う。保存義務があるものを破棄したとしたら、ルール違反だ。

  ―徹底的に文書の存在を究明する考えですか。
 必要があれば、省の外に(調査機関を)つくって徹底的に調べなければならない。外務省の中だけに任せてできないのであれば。やはり外相が事務次官にきちんと出すよう命令すべきだ。

  ―実態とかけ離れた国会答弁が行われていました。密約の事実が確定すれば、政策にどう反映させますか。
 国内への説明と米国との約束の間に食い違いがある。その食い違いを何らかの形で正さないといけない。

  ―核の先制不使用について米国と協議していくとの考えですか。
 日米間でよく話し合うべきテーマだ。「核のない世界」への一歩になりうる話だ。

日米の核密約
 米軍による日本への核兵器の持ち込みは本来、1960年改定の日米安全保障条約で定めた「事前協議」の対象だが、核を積んだ米軍の艦船と飛行機の日本への通過・寄港、飛来を対象外とした日米間の秘密合意。安保改定時に日米両政府は、核搭載艦船の通過・寄港などを日本側が黙認する「秘密議事録」を交わし、1963年には大平正芳外相がライシャワー駐日大使に内容を確認した。日本側に発言権を付与した事前協議は一度も行われておらず、政府は「事前協議がない限り、通過・寄港も含め持ち込みはない」と主張。日本は「核を持たず、つくらず、持ち込ませず」の非核三原則を国是としている。

(共同通信配信、2009年7月24日朝刊掲載)

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