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幅広がる基地の任務 海自呉地方隊創設70年 総監「今後も地域と向き合う」

 海上自衛隊呉地方隊は1日、創設70年となった。中心となる呉基地を呉市に置き、地域と深く関わりながら任務の幅を広げてきた。政府が「防衛力の抜本的な強化」を掲げる中、来年3月には呉基地に新部隊の拠点が置かれることが決まっており、役割と姿は今後も変容していく可能性がある。(小林旦地)

 警備区は和歌山県から宮崎県までの1府12県、さらに沖ノ鳥島(東京)も含む広範な海域で、約1万人が勤務する。「空母化」が進められる護衛艦かがや掃海母艦など約40隻が呉基地を母港とし、うち潜水艦は国内最大の12隻が配備されている。

 機雷処理や領海警備に加え、1991年のペルシャ湾への掃海部隊派遣から海外派遣も重ね、任務の幅を広げている。新原芳明市長は「重要な役割を果たしている拠点を誇りに思う」と語る。

 2022年の安全保障関連3文書の決定で防衛費が増額される中、25年3月には新設の共同部隊「海上輸送群」の司令部が呉基地に置かれる。また、防衛省は今年3月、呉基地に近い日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区跡地に複合防衛拠点を整備したい意向を表明。呉基地との関連は現時点では不明だ。同省は年内にも機能の配置案を示すとするが、案に反対する市民団体の運動も続いている。

 創設70年の節目を迎え、二川達也呉地方総監は「地域の理解と支援があってこそ。今後も地域と向き合い、貢献しながら国民に安心を届けたい」と話す。

(2024年7月2日朝刊掲載)

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