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核禁条約「現実的な選択」 第1回締約国会議議長 オンラインで講演 抑止論の危うさ指摘

 核兵器禁止条約の第1回締約国会議で議長を務めたオーストリア外務省のアレクサンダー・クメント軍縮局長の講演会が4日、東京都千代田区の明治大であった。「核抑止はもろく不安定で、核兵器の不使用はいつまでも続かない」と訴えた。

 クメント氏はオーストリア・ウィーンからオンラインで出演した。核兵器に頼る国は「核兵器が魔法のように安全をもたらすと信じており、リスクは議論していない」と強調。「核抑止が失敗する可能性は確実にある」とし、条約こそ「現実的な安全保障の選択だ」と述べた。

 来年3月の第3回締約国会議に向け、オーストリアは核抑止による安全保障上の懸念について報告書を出す。クメント氏は、関係者とのオンラインでの会合を定期的に開き「懸念の言語化を進めている」と紹介。「条約に反対する国と議論するための提言も示す。大きな成果となる」とした。

 講演は、2021年の条約発効までの過程を外交文書や証言を交えて振り返ったクメント氏の著作の出版に合わせて、明治大の山田寿則兼任講師(国際法)のゼミが企画した。(宮野史康)

(2024年7月5日朝刊掲載)

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