広島市が平和記念式典にイスラエル招待 パレスチナが市を非難 「加害者でなく被害者を招くべき」
24年7月12日
広島市が8月6日に営む平和記念式典にパレスチナ自治区ガザを攻撃するイスラエルの政府代表を招いたことに、駐日パレスチナ常駐総代表部(東京)が反発している。市は、国家ではないとしてパレスチナ自治政府を招待していない。ワリード・シアム代表は「戦争の加害者でなく、被害者を招くべきだ。大変残念な気持ちだ」と嘆いている。
常駐総代表部は今月9日にX(旧ツイッター)の公式アカウントで、平和記念式典を巡り市を非難するコメントを投稿。「破壊の被害者として知られ、平和を訴える広島市が大量虐殺、民族浄化、占領が続くパレスチナを招待しないのは衝撃的。この決定はダブルスタンダード(二重基準)だ」と記した。
シアム代表は中国新聞の取材に「被害者が招待されず、加害者が招待されている。このような状態で、どうしたら広島市が『平和な街』と言えるだろうか」と答えた。
市は1998年に核兵器保有国の首脳へ招待状を送り始め、2006年に日本に大使館のある全ての国の駐日大使も加えた。イスラエルは09年に初参列し、今回も大使が出席する見通し。一方、日本が国家として承認していないパレスチナは招待の対象外。市民活動推進課は国を招待の基準としている点を「フォーマルな判断だと思う」と説明している。
今年の式典には、今月8日時点で過去最多となる115カ国と欧州連合(EU)の代表が出席を予定。ウクライナへの侵攻を続けるロシアと支援するベラルーシは「式典の円滑な挙行に影響を及ぼす可能性がある」として市が招いていない。
もう一つの被爆地で、8月9日に式典を開く長崎市はロシアとベラルーシを招かず、イスラエルの招待を保留しているが、パレスチナ自治政府へは「紛争の当事者ではない」として招待状を送った。ガザを実効支配してきたのはイスラム組織ハマスで、イスラエル軍と戦闘を続けている。(野平慧一)
(2024年7月12日朝刊掲載)
常駐総代表部は今月9日にX(旧ツイッター)の公式アカウントで、平和記念式典を巡り市を非難するコメントを投稿。「破壊の被害者として知られ、平和を訴える広島市が大量虐殺、民族浄化、占領が続くパレスチナを招待しないのは衝撃的。この決定はダブルスタンダード(二重基準)だ」と記した。
シアム代表は中国新聞の取材に「被害者が招待されず、加害者が招待されている。このような状態で、どうしたら広島市が『平和な街』と言えるだろうか」と答えた。
市は1998年に核兵器保有国の首脳へ招待状を送り始め、2006年に日本に大使館のある全ての国の駐日大使も加えた。イスラエルは09年に初参列し、今回も大使が出席する見通し。一方、日本が国家として承認していないパレスチナは招待の対象外。市民活動推進課は国を招待の基準としている点を「フォーマルな判断だと思う」と説明している。
今年の式典には、今月8日時点で過去最多となる115カ国と欧州連合(EU)の代表が出席を予定。ウクライナへの侵攻を続けるロシアと支援するベラルーシは「式典の円滑な挙行に影響を及ぼす可能性がある」として市が招いていない。
もう一つの被爆地で、8月9日に式典を開く長崎市はロシアとベラルーシを招かず、イスラエルの招待を保留しているが、パレスチナ自治政府へは「紛争の当事者ではない」として招待状を送った。ガザを実効支配してきたのはイスラム組織ハマスで、イスラエル軍と戦闘を続けている。(野平慧一)
(2024年7月12日朝刊掲載)