遺品が語る被爆の悲惨さ 「ヒロシマ・アピールズ」 副田高行さんのポスター完成
24年7月13日
核兵器廃絶や平和への願いを国内外に発信する2024年版の「ヒロシマ・アピールズ」ポスターが完成した。アートディレクター副田高行さん(74)=東京都=が制作し、タイトルは「遺品が訴えるもの」。原爆で破れた被爆者の衣服の写真を使い、もたらされた影響や悲惨さを表現した。
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写真家の石内都さんが被爆者の遺品を撮った写真集「ひろしま」から1枚を選んだ。広島駅(現南区)の前で被爆した女性が身に着けていたという、ちぎれ、引き裂かれたワンピースをポスターいっぱいに配している。
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副田さんは12日、広島市役所でポスターを松井一実市長に渡し、「広島のことを忘れないでくれと遺品が語っている」と説明した。松井市長は「被爆の実相を多くの人に受け止めてもらいたい」と願った。
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ポスター制作は日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)広島地区、広島国際文化財団、ヒロシマ平和創造基金が主催した。1983年に始まり、今回で28作目。1800部を印刷し、1枚1100円で原爆資料館(中区)などで販売している。市立小中高にも配る。(下高充生)
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(2024年7月13日朝刊掲載)