『ひと・とき』 バイオリニスト 盛田恵さん 被爆した父の思い継ぐ音色
24年7月19日
「父の思いを引き継ぎたい」。41年間バイオリン奏者を務めた広島交響楽団を昨年退団し、新たな演奏活動を始めた。広島女学院中・高校長だった父、橋本栄一さん(2018年に92歳で死去)の被爆体験記の朗読とともにバイオリンを奏でるコンサートを8月6日、広島市西区のコジマホールディングス西区民文化センターで開く。
栄一さんは、祖父が材木商として渡った朝鮮半島で生まれた。広島工業専門学校(現広島大工学部)へ進学し、19歳の時に爆心地から2キロで被爆。「収容先の似島で同室だった2人の少年の死は凄惨(せいさん)だった」との証言を残している。
「父はいつも多忙で、元気なうちは詳しく話を聞けなかった」。校長時代には、広島女学院の原爆被害を伝えるドキュメント映画「夏雲」を生徒たちと製作。退職後はヒロシマ・ピース・センターの理事長などを歴任し、韓国・朝鮮人被爆者の支援にも尽力した。
8月6日のコンサートでは、カッチーニ「アベマリア」やカタルーニャ民謡「鳥のうた」などに加え、広島で原爆死した府中市上下町出身の音楽家、岡田二郎が作曲した「春」も演奏する。「私にできることで、平和の大切さを伝えていきたい」(西村文)
◇
コンサートは午後3時からと6時半からの2回公演。ピアニストの岡田ミサコさん、朗読の桂幾子さんと共演。一般2500円、中学生以下1500円。前売りは各500円引き。同文化センター☎082(234)1960。
(2024年7月19日朝刊掲載)
栄一さんは、祖父が材木商として渡った朝鮮半島で生まれた。広島工業専門学校(現広島大工学部)へ進学し、19歳の時に爆心地から2キロで被爆。「収容先の似島で同室だった2人の少年の死は凄惨(せいさん)だった」との証言を残している。
「父はいつも多忙で、元気なうちは詳しく話を聞けなかった」。校長時代には、広島女学院の原爆被害を伝えるドキュメント映画「夏雲」を生徒たちと製作。退職後はヒロシマ・ピース・センターの理事長などを歴任し、韓国・朝鮮人被爆者の支援にも尽力した。
8月6日のコンサートでは、カッチーニ「アベマリア」やカタルーニャ民謡「鳥のうた」などに加え、広島で原爆死した府中市上下町出身の音楽家、岡田二郎が作曲した「春」も演奏する。「私にできることで、平和の大切さを伝えていきたい」(西村文)
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コンサートは午後3時からと6時半からの2回公演。ピアニストの岡田ミサコさん、朗読の桂幾子さんと共演。一般2500円、中学生以下1500円。前売りは各500円引き。同文化センター☎082(234)1960。
(2024年7月19日朝刊掲載)