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節目の70回 反戦誓う夏 あすから広島平和美術展 創設 四国五郎さんらの作品も

 今夏で70回目となる「広島平和美術展」が28日~8月2日、広島市中区の県民文化センターで開かれる。平和を願って国内外から寄せられた絵画、彫刻、書など約250点に加え、自らの戦争体験を筆に込めた創設メンバーたちの作品も展示。主催者は「節目を機に、若い人たちに活動を知ってもらい、思いをつないでいきたい」と願う。(仁科裕成)

 1955年の第1回原水爆禁止世界大会に合わせて始まった同展。同年8月に開催された第1回展には、戦後の広島画壇をけん引し、反戦を訴え続けた柿手春三さん(1909~93年)、シベリア抑留の記憶や弟の命を奪った原爆への怒りを表現した詩画人、四国五郎さん(24~2014年)たちが参加し、絵画と彫刻計170点が並んだ。

 第1回展の後、柿手さんを会長に広島平和美術協会を設立し、年に1回の開催を継続。写真や書、生け花なども加わり、次第に規模は拡大したが、「技術を競うよりも、作品に込めた思いを大切にしたい」と、審査も賞もないアンデパンダン方式を貫いてきた。

 20年前に400点を超えていた出品数は、近年減少傾向にある。昨年からは高校生も出品できるように。第13回展から参加する千馬弘子さん(87)=中区=は「年々、被爆者の出品が減少する中、その思いを絶やしてはいけないと出品を続けてきた」と振り返る。

 長年、運営に携わってきた同協会の好永良子事務局長(78)は「創設メンバーの四国さんたちには、並々ならぬ反戦への思いがあった。世界では今も戦争が絶えず、平和展は『役目を終えた』と言える状況にはない。思いを次世代に継承したい」と決意を込める。

 70回記念展には、柿手さんや四国さんたちの特別展示のほか、子どもたちから募った作品や、70年の歴史を振り返るコーナーも設ける。午前10時~午後6時(最終日は午後4時まで)。一般300円、高校生以下無料。

(2024年7月27日朝刊掲載)

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