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被爆前 働き方示す「服務規定」 レストハウス前身の大正屋呉服店 故若狭部長の遺族、広島市に寄贈

 平和記念公園(広島市中区)にある被爆建物レストハウスの前身、大正屋呉服店の「服務規定」が市に寄贈されることになった。1943年の閉店まで営業総務部長を務めた故若狭金治郎さんが残した書類で、遺族が保管してきた。戦前の働き方を示す貴重な資料といい、市は8月1~13日にレストハウスで公開する。

 服務規定は6枚の紙(縦24センチ、横17センチ)がこよりで結ばれている。制定時期は不明ながら従業員の階級と月給、勤務時間などが詳細につづられている。原爆資料館(中区)の土肥幸美学芸員は「組織の構成や従業員の働き方が分かる貴重な資料」と評価。性別や学歴によって賃金の差があり、「社会構造の一端も見える」と指摘する。

 大正屋呉服店は12年に開業し、レストハウスとなる店舗を29年に新築。太平洋戦争中の繊維統制令で43年に廃業した。服務規定は若狭さんが中区の自宅で保管してきた。孫で、中区で呉服店を営む利康さん(68)が「平和記念公園にかつて人の営みがあったと感じてほしい」と寄贈を決めた。

 市は一般公開後、現物を市公文書館で保管。レプリカを制作し、レストハウスでの公開を予定している。(下高充生)

(2024年7月31日朝刊掲載)

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