緑地帯 西谷真理子 私と中国地方出身のデザイナー⑦
24年8月1日
一昨年の夏、白いプルオーバー型の大麻の半袖シャツを買った。着てみて生地の張り感と立った襟のシンプルな美しさ、そして圧倒的な涼しさに驚いた。この一枚がきっかけで、「ミッタン(MITTAN)」というブランドへの関心が芽生えた。
デザイナーの三谷武さんは、1981年津山市生まれ。東京の文化服装学院を卒業後、2013年にブランド設立。京都を拠点とし、店では修繕した服も販売する。
ホームページは、こう始まる。「MITTANは『現代の民族服』を提案しています。平面的な構造を再解釈し、天然素材が持つ本来の機能性と組み合わせることで、一過性の時代の流れにとらわれることのない、永く続く服を目指しています」
そして、「ブランド設立当初から続けている修繕・染め直しに加えて、2021年からは、買い取りを開始。定番品を継続的に作り続けることで、短サイクル消費、大量廃棄を前提としたアパレル産業の構造に抵抗しています」と締めくくっている。
ファッションを学んでいる時は、マルジェラやバレンシアガといった、パリモードの突出した才能に引かれていたが、自分で作って売る立場になると、ファストファッションの労働者搾取問題や、13年のラナプラザ崩落事故のような劣悪な労働環境などから目を背けるわけにはいかなくなり、自分自身の解決方法を編み出したのだった。今年も私のミッタンのシャツは、シャキッと出番を待っている。(編集者=東京都)
(2024年8月1日朝刊掲載)
デザイナーの三谷武さんは、1981年津山市生まれ。東京の文化服装学院を卒業後、2013年にブランド設立。京都を拠点とし、店では修繕した服も販売する。
ホームページは、こう始まる。「MITTANは『現代の民族服』を提案しています。平面的な構造を再解釈し、天然素材が持つ本来の機能性と組み合わせることで、一過性の時代の流れにとらわれることのない、永く続く服を目指しています」
そして、「ブランド設立当初から続けている修繕・染め直しに加えて、2021年からは、買い取りを開始。定番品を継続的に作り続けることで、短サイクル消費、大量廃棄を前提としたアパレル産業の構造に抵抗しています」と締めくくっている。
ファッションを学んでいる時は、マルジェラやバレンシアガといった、パリモードの突出した才能に引かれていたが、自分で作って売る立場になると、ファストファッションの労働者搾取問題や、13年のラナプラザ崩落事故のような劣悪な労働環境などから目を背けるわけにはいかなくなり、自分自身の解決方法を編み出したのだった。今年も私のミッタンのシャツは、シャキッと出番を待っている。(編集者=東京都)
(2024年8月1日朝刊掲載)