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核抑止力依存 転換を 対話で危機打破 ゴルバチョフ氏の言葉引用 広島市 平和宣言骨子を発表

 広島市の松井一実市長は1日、原爆の日の平和記念式典で読み上げる平和宣言の骨子を発表した。世界情勢が混迷を極める中、国家間の疑心暗鬼が深まり、解決には武力に頼らざるを得ないという考えが強まっていると指摘。東西冷戦を終結に導いた旧ソ連大統領のミハイル・ゴルバチョフ氏(2022年に91歳で死去)の言葉を引き、核抑止力に依存する為政者に政策転換を迫る。

 宣言では、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や、イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザへの攻撃など世界情勢に言及。為政者に政策転換を促すとともに、市民社会の行動を提起する。

 具体的には、あらゆる暴力を否定する「平和文化」の共有を呼びかけ、平和首長会議の加盟都市と共に市民社会の行動を後押しし、平和意識の醸成に取り組むと掲げる。ゴルバチョフ氏の言葉は、レーガン米大統領(当時)との対話で冷戦下の危機を打破できた事例として紹介。為政者に被爆者の願いを受け止め、核兵器廃絶への決意を発信するよう求める。

 松井市長はこの日の記者会見で、米国が核兵器を含む戦力で日本の防衛に関与する「拡大抑止」の強化について「核兵器使用の可能性を高めかねない発想だ。平和宣言で政策転換を促していく」と述べた。式典は6日午前8時から平和記念公園(中区)で営まれる。(野平慧一、下高充生)

(2024年8月2日朝刊掲載)

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