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慰霊と継承 思い新た 広島

 原爆の日を前に、犠牲者を追悼する式典や被爆樹木をテーマにしたイベントが4日、広島市内で相次ぎ開かれた。79年前の惨状に思いを寄せ、それぞれが平和への願いを新たにした。(村上和生、山田祐)

核なき世界訴え続ける 県被団協が慰霊式

 県被団協(箕牧(みまき)智之理事長)は、中区の広島平和会館で原爆死没者追悼慰霊式を営んだ。

 役員11人が参列。黙とうをささげて祭壇に献花し、追悼の思いを新たにした。箕牧理事長(82)は被爆者の高齢化が進む現状に触れ「残された時間はわずかだが、あの日のことを語り、核兵器のない世界になるよう訴え続ける」と誓った。

児童・生徒ら230人参列 国民学校教師と子どもの碑前で慰霊祭

 平和記念公園(中区)南側の緑地帯にある「原爆犠牲国民学校教師と子どもの碑」前でも、犠牲者を悼む慰霊祭があった。

 市内の小中学校21校の児童・生徒や遺族たち計230人が参列。代表して安佐南区の祇園中3年丸尾脩介さん(15)が「世界平和の実現に向け、思いやる心を大切にし、核兵器の悲惨さを忘れずにいたい」と力を込めた。続いて各校の代表者が折り鶴を碑に手向けた。

被爆樹木題材にアート 小学生18人が作品作り

 中区の市青少年センターでは、被爆樹木を題材にしてアート作品を作るイベントが始まった。初日は市内の小学生18人が参加し、被爆樹木の生命力の強さなどを学んだ。

 題材にしたのは、爆心地から370メートルの本川沿いにあるシダレヤナギ。参加者は美術家の浅見俊哉さん(41)=埼玉県三郷市=に教わりながら感光紙の上に直接、シダレヤナギの葉などを並べた。10分ほど日光を当てるなどすると紙の上に葉の形が白く浮かび上がった。

 カメラを使わずに物体の形状を写し取る「フォトグラム」という技法。中区の白島小5年中森幾一さん(10)は「原爆で生き延びた木の力を感じた。特別な作品ができた」と目を輝かせた。

 浅見さんが2017年から開き、今年で6回目。最終日の6日は原爆投下の時刻に合わせて制作の様子を公開する。「被爆樹木は毎年姿が変わり続けている。リアルな広島の姿として表現したい」と意気込んでいた。

(2024年8月5日朝刊掲載)

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