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被爆2世 使命胸に「つなぎ役」 松江の本間さん 日本被団協役員就任 次世代見据え最前線に立つ

 日本被団協の初めての被爆2世役員として、本間恵美子さん(74)=松江市=が6月、中国ブロック選出の代表理事に就任した。島根県原爆被爆者協議会の会長でもあり、中国地方で唯一、県組織をまとめる2世でもある。「いまが過渡期。1世に『ついて行く』だけではいけない」。2世の最前線に立つ覚悟を決める。(寺本菜摘)

 被団協では、六つの委員会のうち、被爆の実相普及委員会に所属。国内外への普及啓発活動などに取り組んでいく。「なぜ原爆が落とされたのかも含め、勉強しなければいけないことは多い」と自覚する。

 中国ブロックでは、代表理事を各県2年ごとに持ち回りで選ぶことを申し合わせているが、被爆経験のない役員を輩出することには賛否の声があった。「それでもいつかは2世が活動を担っていく。2世役員が増えていく時のつなぎ役になれれば」と次世代を見据える。

 県によると、3月末時点の全国の被爆者の平均年齢は85・58歳だが、島根県の被爆者の平均年齢は91・17歳。より高齢化が進む県組織を維持していこうと会長に就任したのは2年前。被爆者からかけられた「1世だと思ってやってください」との言葉の重みが忘れられない。託された思いを胸に、全国組織の役員も受け入れた。

 「2世でも親に面と向かって話を聞いた人は少ない」と、継承の難しさを感じている。本間さんの母で、2013年に90歳で亡くなった淳(あつ)さんは、広島市で入市被爆。生前、被爆体験を語ることはなかった。「被爆者が当時を語ろうと思い始めたのは最近のこと」という。

 原爆投下から80年の節目を迎える来年には、改めて県内の2世が被爆者に体験と思いを聞く場を設けたいと考える。「勉強を重ね、被爆者だったらどう考えるか、という視点をいつも持っていたい」。2世の使命をひとつずつ果たしていく。

(2024年8月3日朝刊掲載)

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