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戦争は絶対駄目 朗読で訴え20年 庄原「口和本の会」の3人 児童を前に原爆詩など披露

 庄原市口和町の「口和本の会」の3人が、市内外の学校や団体を訪ねて被爆者の体験記や原爆詩の朗読を続けて今年で20年目になった。これまで100回以上続け、核兵器の悲惨さや平和の大切さを伝えてきた。被爆から79年の6日は口和小で5、6年生25人を前に公演した。(桜井邦彦)

 メンバーは同町の岩瀧朋子さん(69)、川﨑弘子さん(82)、花本弘子さん(72)。原爆をテーマにした絵本を読み聞かせ、児童と一緒に峠三吉の原爆詩などを朗読した。6年の福元埜々花さん(11)は「苦しみやつらさがひしひしと伝わってきた。戦争をなくし、平和な世界をつくっていきたい」と受け止めていた。

 同会は2002年に発足。きっかけは、岩瀧さんが国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(広島市中区)の朗読サポーターとなり、知人の川﨑さんと花本さんにノウハウを伝えた。朗読会は被爆60年の05年に始めた。

 母親が入市被爆し、伯父も被爆者という岩瀧さん。周囲にも体験を語ろうとしなかった2人の様子から、戦後何年たっても続く苦しみを感じたという。「戦争は絶対にいけない」。活動を通じ、平和の大切さと実現への努力を訴えてきた。

 会代表の川﨑さんは活動開始当初、体験記や原爆詩の朗読中に涙が止まらないこともたびたびあった。それでも練習を重ね、「1人の人間として伝えていくのが使命」との思いを強くした。

 同会はこれまで、県北を中心に学校や老人会の要請を受けて出向いてきた。庄原市の戦没者追悼式・平和祈念式典でも毎年朗読している。3人は「命の尊さを伝え続けていきたい」と気持ちを新たにしている。

(2024年8月7日朝刊掲載)

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