核抑止の政策転換を 被爆79年 広島平和宣言 「武力解決」に危機感
24年8月7日
米軍による広島への原爆投下から79年となった6日、広島市は平和記念公園(中区)で原爆死没者慰霊式・平和祈念式(平和記念式典)を営んだ。松井一実市長は平和宣言で、国際問題の解決を武力に頼らざるを得ないという考え方の拡大に危機感を表明。「希望を胸に心を一つにして行動を起こせば、核抑止力に依存する為政者に政策転換を促すことが必ずできる」と市民社会に呼びかけた。(渡辺裕明)
市は安全対策の強化を理由に、従来は原爆慰霊碑周辺だった入場規制エリアを公園全体に広げ、原爆ドームまで含めた。昨年同様に約5万人が参列したと発表。開式前には入場口の手荷物検査に行列ができるなど来場者に影響が出た。
松井市長は宣言で、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化やイスラエル・パレスチナ情勢の悪化で国家間の疑心暗鬼が深まっていると指摘。東西冷戦を終結に導いた旧ソ連のゴルバチョフ元大統領の言葉を引いて「為政者が断固とした決意で対話すれば、危機的な状況を打破できる」と述べ、市民の後押しを求めた。
また為政者へ、広島を訪れて核兵器廃絶の決意を発信するよう要請。日本政府へは来春ある核兵器禁止条約の第3回締約国会議へのオブザーバー参加と、加盟を迫った。
式典は午前8時に開式。この1年に死亡が確認された広島の被爆者5079人を加えた原爆死没者名簿が慰霊碑に納められ、128冊計34万4306人になった。原爆投下時刻の8時15分に遺族代表とこども代表が「平和の鐘」を突き、全員で黙とうした。
平和宣言に続いて小学6年生2人が「平和への誓い」を発表し、「色鮮やかな日常を守り、平和をつくっていくのは私たち」と決意。岸田文雄首相はあいさつで「核兵器のない世界への道のりがいかに厳しくても、歩みを止める訳にはいかない」と強調したが、禁止条約には触れなかった。
海外政府代表は核兵器を持つ米英仏印とイスラエルを含む109カ国と欧州連合(EU)が、都道府県の遺族代表は32人が参列した。
(2024年8月7日朝刊掲載)
市は安全対策の強化を理由に、従来は原爆慰霊碑周辺だった入場規制エリアを公園全体に広げ、原爆ドームまで含めた。昨年同様に約5万人が参列したと発表。開式前には入場口の手荷物検査に行列ができるなど来場者に影響が出た。
松井市長は宣言で、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化やイスラエル・パレスチナ情勢の悪化で国家間の疑心暗鬼が深まっていると指摘。東西冷戦を終結に導いた旧ソ連のゴルバチョフ元大統領の言葉を引いて「為政者が断固とした決意で対話すれば、危機的な状況を打破できる」と述べ、市民の後押しを求めた。
また為政者へ、広島を訪れて核兵器廃絶の決意を発信するよう要請。日本政府へは来春ある核兵器禁止条約の第3回締約国会議へのオブザーバー参加と、加盟を迫った。
式典は午前8時に開式。この1年に死亡が確認された広島の被爆者5079人を加えた原爆死没者名簿が慰霊碑に納められ、128冊計34万4306人になった。原爆投下時刻の8時15分に遺族代表とこども代表が「平和の鐘」を突き、全員で黙とうした。
平和宣言に続いて小学6年生2人が「平和への誓い」を発表し、「色鮮やかな日常を守り、平和をつくっていくのは私たち」と決意。岸田文雄首相はあいさつで「核兵器のない世界への道のりがいかに厳しくても、歩みを止める訳にはいかない」と強調したが、禁止条約には触れなかった。
海外政府代表は核兵器を持つ米英仏印とイスラエルを含む109カ国と欧州連合(EU)が、都道府県の遺族代表は32人が参列した。
(2024年8月7日朝刊掲載)