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イスラエル大使 前見つめ 式典参列「招待され光栄」 パレスチナ代表は批判

 パレスチナ自治区ガザを攻撃するイスラエルのギラッド・コーヘン駐日大使が6日、広島市中区の平和記念公園であった平和記念式典に参列した。イスラエルの参列に反対する市民団体は集会を開き、市の対応を批判。被爆地に国際社会の対立関係が映し出された。(下高充生、編集委員・田中美千子)

 コーヘン氏は式典中、じっと前を見つめていた。終了後は同盟国の米国のラーム・エマニュエル駐日大使と言葉を交わし会場を去った。X(旧ツイッター)に「亡くなった方をしのび、ご遺族と日本の皆さまに敬意を表する」と投稿した。

 コーヘン氏は5日にも同公園を訪れ、中国新聞の取材に「招待されて光栄」と述べた。自身の参列を非難する声には「われわれが仕掛けた戦争ではなく自衛権の行使だ。何年も式典に参列していることこそ、われわれが平和を求めているというメッセージだ」と主張した。

 一方、市のイスラエル招待を批判してきた市民団体「広島パレスチナともしび連帯共同体」は6日夜、公園内で集会を開いた。パレスチナ自治政府のワリード・シアム駐日常駐総代表がオンラインで参加し、イスラエルの攻撃による子どもを含む民間人の犠牲を「大量虐殺だ」と強調。「家族は引き裂かれ、子どもたちはがれきの下で育ち、私たちの声はイスラエル軍にかき消されている。広島市は式典から被害者を排除した」と訴えた。

 市はウクライナを侵攻するロシアと支援国ベラルーシを3年連続で招待せず、日本政府が国家承認していないパレスチナ自治政府も招いていない。長崎市は9日の平和祈念式典にイスラエルを招かず、パレスチナは例年通り招待した。

(2024年8月7日朝刊掲載)

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