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被爆直後「赤十字」の医療は 元院長の手帳 県医師会館で紹介 竹内さん 病院再建に尽力

 県医師会は7日、原爆投下時に広島赤十字病院(現広島市中区の広島赤十字・原爆病院)の院長だった故竹内釼(けん)さんの手帳を紹介する特別展を東区の県医師会館で始めた。被爆間もない時期から使われ、当時の医療を支えた「ヒロシマの医師の原点」を伝える。

 手帳はA5判の金銭出納帳を利用。最初のページで1945年8月8日に広島へ調査に入った理化学研究所の故仁科芳雄博士の名前や「放射能」に触れている。ほかに、資材不足や放射線の測定結果、スイス人医師マルセル・ジュノー博士の来院などを書き留めている。特別展には手帳の実物と説明パネルが並ぶ。

 分析した広島大原爆放射線医科学研究所(南区)の久保田明子助教は「医師の残した資料の多くは患者のカルテだが、病院全体をどう守ろうとしたかが見てとれる」と解説。竹内さんは病院の再建にも尽力し、74年に84歳で亡くなった。

 ことし1月に竹内さんの孫で米ニューヨーク在住の映像プロデューサーの道さんが段ボール10箱分の資料を医師会に寄贈した。この日、展示を見た道さんは「情熱的な祖父の仕事ぶりを多くの人に知ってほしい」と話した。(山本真帆)

(2024年8月8日朝刊掲載)

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