×

社説・コラム

『想』 岡本淳(おかもとあつし) おりづるコースター

 廿日市市に障がい者就労支援B型事業所「リバティーはつかいち」を開設し、8年がたちました。私自身も16歳の時に身体障害者手帳を取得し、就労支援の必要性を強く感じています。

 当事業所の通所者は比較的軽度の方々です。段ボールの組み立て・加工やオリジナル商品製作など、その人に合った作業をします。握力や視力、腰などに不安がある人には、声かけをして体調を確認しながら作業内容を決めています。

 昨年5月、広島市で先進7カ国首脳会議(G7サミット)が行われ、3日間の会議で当事業所が開発した「おりづるコースター」が使用されました。世界中から平和記念公園に届く千羽鶴を再生し、折り鶴のイラストをあしらった商品です。

 これまで千羽鶴は一定期間保管された後、焼却処分されていましたが、障がい者の就労支援活動などに無償提供されるようになりました。今では再生紙としてノートやメモ帳、名刺などに生まれ変わっています。

 私たちのおりづるコースターは、ウクライナのゼレンスキー大統領にも、廿日市市からのお土産として贈られました。

 広島市や廿日市市の一部の宿泊施設や飲食店でも使ってもらっています。ヒロシマの「おもてなし」として普及させ、販売を拡大したいと思っています。広島県内の他の作業所にも製作を請け負ってもらえ、障がい者の工賃アップにつながります。

 この事業を広島と同じように長崎、沖縄に広げる構想も温めています。全国に平和を求める気持ちを広げながら、さらに多くの障がい者の工賃アップを実現したいというのが願いです。

 平和記念公園を訪れる修学旅行生たちは、千羽鶴を一人一人の平和の思いを込めて折り、持ってきます。その千羽鶴が障がい者の作業で「おりづるコースター」になり、平和について考える機会が広がることを、ぜひ知ってもらいたいと思います。旅行会社から生徒に配布してもらうよう、協力を求めていきたいと考えています。(オアシスコーポレーション社長、リバティーはつかいち管理責任者)

(2024年8月8日朝刊セレクト掲載)

年別アーカイブ