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詩誌の垣根越え 被爆79年見つめる 広島県詩集 第34集

 広島県詩人協会が隔年で発行する「広島県詩集」の第34集=写真=が刊行された。所属する詩誌の垣根を越え、広島県や山口県などの55人の作品を収録したアンソロジー。原爆投下から79年になる今、ヒロシマを見つめ直し、それぞれのスタイルで表現した作品が目を引く。

 「街は 屍体の 焼けたり/腐っていく 臭いに 充満していた/そんじゃけぇ 思い出させんさんな/わしゃぁ 魚を 焼く臭いは 嫌いじゃけぇ/頼むけぇ 秋刀魚を 焼きんさんな/おい 秋刀魚を 焼くなぁ」(長津功三良「秋刀魚を 焼くな」より)。

 忘れられない記憶による苦しみは今でも続く。方言による語りが、恐怖をより切実に写している。

 経験していない人たちも無関係ではない。ヒロシマは今も地続きだ。「たくさんの人々の骨がいまだ眠るお墓の上で/たくさんの人々の生活は続く/お祭りや/イベント//今日もまた新しいカフェがopenした/店先には金魚草の鉢/雨が落ちて蛍光色がパッと跳ねる」(山本和子「the Resurrection」より)。

 同協会事務局から購入できる。2500円。事務局☎090(5262)7639。(仁科裕成)

(2024年8月9日朝刊掲載)

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