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米軍岩国基地そばの今津川河口付近 指針超えPFAS検出 米平和団体調査で判明

 米軍と海上自衛隊が共同で使う岩国基地(岩国市)そばの今津川の河口付近で、発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)が国の暫定指針値(1リットル当たり50ナノグラム)を超えて検出されたことが21日、米国の平和団体の調査で分かった。

 日本の市民団体が5月下旬に基地周辺2カ所で採取した水を米国の平和団体「ベテランズ・フォー・ピース」(VFP)が調査。PFASの代表的な物質であるPFOSとPFOAの合算値が基地北側の今津川河口で1リットル当たり89・3ナノグラムと指針値を上回ったという。基地南側の門前川では検出されなかった。

 指針値を超えた今津川河口は、岩国基地そばの遊水池の水が海へ流れる地点。遊水池は基地や周辺の排水、雨水が流れ込んでいる。

 PFASはかつて米軍などの泡消火剤やエンジン洗浄に使われ、日本ではPFOS、PFOAとも製造、輸入が2021年までに原則禁止された。防衛省によると、米軍岩国基地はPFOSを含まない泡消火剤への交換を22年12月までに終え、焼却処分したと説明している。海自岩国基地は今年9月末を目標に処理を終える予定。

 VFPは今年5、6月、日本各地の市民団体の協力を得て在日米軍や自衛隊の基地周辺40カ所で水質調査を実施。岩国基地を含む12カ所でPFASが指針値を超え、東広島市の米軍川上弾薬庫近くの瀬野川では1リットル当たり134・7ナノグラムだったという。VFP準会員のパット・エルダーさん(69)は「基地が発生源の可能性がある。危機感を持って対応すべきだ」とする。

 山口県環境政策課は「採水や分析の方法が確認できないので調査結果を評価できない。県が調査する予定はない」としている。(川村奈菜)

(2024年8月22日朝刊掲載)

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