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「オッペンハイマー」科学で解説 中区 原作監訳の物理学者 映画の場面に触れ講演

 原爆開発を率いた科学者の半生を描いた映画「オッペンハイマー」の原作(早川書房版)を監訳した物理学者で、東京工業大の山崎詩郎助教の講演会が25日、広島市中区のRCC文化センターであった。原爆を科学的に解説し、平和を考える一助にしようと山崎助教自身が企画した。

 参加者36人を前に、山崎助教は、映画に関連する「原子」「核分裂」などの言葉を模式図で示しながら説明。映画の場面にも触れ、一例として金魚鉢にビー玉がたまっていくシーンは、米軍が広島に投下した原爆の材料ウラン235が、爆発に至る「臨界量」を超えるように集まる様子をイメージしていたと話した。

 原爆の仕組みについて「科学的な知見でいえば(講演会の)2時間で概要は説明できる」とし、オッペンハイマーがいなくてもいずれ開発されていたと指摘。「オッペンハイマーが世界を変えたのではなく、われわれは原爆を簡単に造れる世界に住んでいるということだ」との見方を示した。

 安佐南区の野北和彦さん(73)は「知識や技術をどう人間が使うか、考えさせられた」と話していた。(下高充生)

(2024年8月26日朝刊掲載)

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