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岩国基地オスプレイ配備計画 市議会 「理解」が多数 国が説明 安全性を強調

 米軍岩国基地(岩国市)に海軍の輸送機オスプレイなどが配備される計画を巡り、岩国市議会(定数28)は23日、全員協議会を議場で開いた。防衛省幹部たちが計画について説明し、機体の安全性などを強調。議員側は一部が反対したものの、配備に理解を示す意見が多数を占めた。基地の負担に対する地域振興策を求める声も上がった。(長久豪佑)

 三宅伸吾防衛政務官は「オスプレイの安全性は日本政府として独自に確認している」と説明。地域振興策については「適切に最大限、取り組むことを約束する」と述べた。

 議員側は会派ごとに代表者が計画について意見や質問をした。最大会派の憲政会(7人)は「インド太平洋地域の平和と安定のため理解する」としつつ、住宅防音工事の拡充などの財政支援を要望。志政いわくに(4人)や公明党議員団(同)も「反対はしないが市民の安心安全の確保が大前提だ」などと意見した。

 配備機数や時期に関する質問も出たが国側は明言しなかった。共産党市議団(3人)は「機数は重要。明らかにされないのは納得できない」と批判した。

 配備に反対したのが2会派(計4人)だったのに対し、理解する姿勢を示したのは8会派(計24人)だった。終了後、桑原敏幸議長は「ウエルカムではないが納得した」と述べ、市議会として一定に理解が深まったとの認識を示した。

 市はこの日のやりとりも踏まえ、配備を受け入れるかどうかを近く最終判断する見通し。オブザーバーとして出席した福田良彦市長は「判断の材料はそろった。適切な時期に明らかにする」と説明した。

「答え曖昧」「不安増した」 傍聴の市民ら

 岩国市議会が23日開いた全員協議会を市民たち27人が傍聴した。市議の多数がオスプレイなどの配備計画に理解を示す中、墜落事故が相次ぐ機体の安全性を不安視する声が上がった。

 昨年11月に岩国基地を飛び立ったオスプレイが鹿児島県・屋久島沖で墜落し、全乗員8人が亡くなった。同市海土路町のセラピスト豊岳道子さん(66)は「どうして国は安心安全と言えるのか。紙を見ながら曖昧にしか答えていないように感じた」と憤った。

 国は全員協議会で、屋久島沖の墜落事故の根本的な原因は特定できなかったと説明した。市内の市民団体「瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワーク」の久米慶典事務局長(68)は「部品交換など抜本的な対策を示さず、安全性の確認はできなかった。不安がさらに増した」と語気を強めた。

 国防のため配備に理解を示す市民も。市内の無職男性(70)は「騒音は現状より広がらないと説明があった。オスプレイも海上飛行が基本だろう。住宅の上さえ飛ばなければ問題ない」と話した。(川村奈菜、近藤結一)

(2024年8月24日朝刊掲載)

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