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原爆ドーム健全度 ドローンで初調査 広島市、足場組み不要に

 世界遺産原爆ドーム(広島市中区)の定期的な健全度調査で、市は26日、ドローンによる撮影を始めた。初の試み。目視のため足場を組む必要がなく、外観を覆わずに劣化具合を画像で点検できる。

 委託業者の作業員がドローンを操作し、外観を写真に収めた。天候次第だが、2週間ほど続ける予定で、内側も含め撮影する。幅0・2ミリ以上のひび割れを確認できるといい、結果を踏まえ補修の必要性を判断する。

 市は調査をおおむね3年に1度実施し、今回で10回目。従来の目視調査では足場を約5カ月間設けるため外観が隠れ、ドームや地盤に影響を与える恐れもあった。2022年にドローンを試験的に飛ばし、画像を分析。有効性を確認できたとして、今年2月、有識者でつくる保存技術指導委員会で調査への活用について了承を得た。

 今後はドローンを基本とし、9年に1度程度は足場を組んで調査するという。原爆ドームは広島県物産陳列館として建ち、来年で110年となる。市公園整備課は「来訪者に被爆の実相を心に焼き付けてもらえるよう、保存に努める」としている。(下高充生)

(2024年8月27日朝刊掲載)

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