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オスプレイ 米軍岩国基地への配備容認 安全性 なお不安の声 周辺住民に賛否交錯

 米軍岩国基地(岩国市)に海軍の輸送機オスプレイなどが年内に配備される計画を巡り、岩国市の福田良彦市長が容認する考えを表明した27日、機体の安全性を疑問視する質問が一部の議員から相次いだ。基地周辺の市民の間でも賛否が交錯した。(川村奈菜、菊本孟)

 市議会の議場。福田市長が粛々と原稿を読み上げたのに続き、議員4人が質疑に立った。昨年11月の鹿児島県・屋久島沖での墜落事故などを取り上げ「根本的な原因が特定されていない」「構造上の欠陥ではないのか」などと問うた。

 福田市長は「機体自体の安全性に問題はない」と国が米側から受けた説明を繰り返し、「市は専門的な知見を持ち合わせていないので、それ以上追求することができない」と答えた。

 計画を巡っては、国が7月15日に地元自治体へ伝え、市は約1カ月半で容認を判断した。市民団体「瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワーク」世話人の藤川俊雄さん(76)=同市平田=は「結論ありきでスケジュールが組まれたのではないか。事故が多い機体であり、市が住民に大きな影響がないと結論付けたのは疑問だ」と憤った。

 隣県にも不安が広がった。岩国基地の拡張・強化に反対する広島県住民の会の西浦紘子さん(80)=廿日市市=は「配備でオスプレイが飛ぶ頻度が増え、事故の懸念が高まるだろう。恐ろしく、怒りに震える」と語気を強めた。

 一方、基地近くに住む自治会長の為重英雄さん(73)=岩国市旭町=は「オスプレイは海上輸送が任務で、特に危険だと思わない。地域振興策はもちろん、基地周辺の渋滞対策にも取り組んでもらいたい」と理解を示した。

「運用 強い関心持ち注視」 岩国市長 報道陣とのやりとり要旨

 福田市長はオスプレイ配備計画の容認を表明した後、市役所で報道陣の取材に応じた。やりとりの要旨は次の通り。(長久豪佑)

  ―判断で重視した点は。
 国に対して不明点を文書で質問し、周辺住民への影響を判断するのに十分な回答があった。客観的に回答内容を検証し、大きな影響はないだろうという結果になった。市議会で国の説明に理解を示す意見が多数を占めたことも大きな判断材料になった。

  ―新たに配備されるステルス戦闘機F35Cの実機を視察する考えは。
 視察の機会を設けるよう国にお願いしているが、かなっていない。機会があれば柔軟に対応したい。

 今後、実際に機種更新が行われた後も含め、市民生活に大きな影響があるか、ないか、運用を強い関心を持って注視したい。

  ―国に対し、どのような騒音対策や安心安全対策を求めるのか。
 空母艦載機の移転以降、防音工事の事務所・店舗への拡大などを継続して交渉している。安全保障上の貢献をする自治体の地域振興策の配慮についても具体的にやりとりしている。スタンスを変えず国と協議していく。

(2024年8月28日朝刊掲載)

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