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広島・ベトナム 交流促し15年 東広島の平和友好協会 奨学金支援で日本へ留学も

 広島とベトナムの交流に取り組む東広島市の市民団体「広島ベトナム平和友好協会」が設立15周年を迎えた。経済的に苦しい現地の高校生への独自の奨学金で、これまで約300人を支援。支援をきっかけに日本に関心を深め、卒業後に日本で学ぶケースも少なくないという。(教蓮孝匡)

 同協会は2009年6月に地元有志が設立した。原爆の惨禍があった広島と、ベトナム戦争で米軍が使った枯れ葉剤による被害があったベトナムとの交流を促進。枯れ葉剤の被害者を支援するチャリティー行事を開いたり、県内で暮らすベトナム人留学生や技能実習生たちとの交流イベントを手がけたりしている。

 奨学金は、激戦地だったクアンチ省の少数民族の高校生を対象に、現地の教育委員会が毎年選ぶ生徒20人を支援。日本で募った資金提供者の「サポーター」が生徒とペアになり、寮費や学用品代などとして年1万8千円を入学から卒業まで3年間贈っている。

 ホ・バン・タイさん(20)は4人きょうだいの末っ子で、幼い頃に父親を亡くした。奨学生に選ばれ、きょうだいの中で唯一、高校を卒業。今は別機関の支援を受け、東京の日本語学校で学ぶ。「苦しい家庭事情の中で頑張れたのは広島からの支援のおかげ。日本に関わる仕事に就き恩返ししたい」と感謝する。

 同協会によると、他にも現在、元奨学生6人が日本に留学中。元奨学生の多くはベトナムで公務員や教師、技術者などとして活躍しているという。

 一方で、サポーター確保は常に課題という。赤木達男会長(72)は「日本で活躍するベトナム人は近年、ますます増えている。互いの理解を深め、手を取り合える人間関係づくりに貢献したい」と強調。現在募っている次期奨学生(9月から3年間)のサポーターへの応募を呼びかけている。同協会☎090(1010)0472。

(2024年9月3日朝刊掲載)

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