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失われた青春 音楽と絵画に乗せ 広島の若手音楽家と絵本造形作家コラボ 14・15日公演 被爆ピアノの調べも

 広島の若手音楽家と、江田島市在住の絵本造形作家、戸川幸一郎さんがコラボする公演が14、15の両日、広島市中区である。19歳で被爆死した女学生をテーマにしたオリジナル作品で、タイトルは「二十歳になったら」。青春の日々が戦争にのみ込まれていく物語を、音楽と絵画の共演によってつづる。(西村文)

 広島女学院専門学校(現広島女学院大)3年生の時、原爆で亡くなった河本明子さんの生涯をたどる内容で、上演時間は約30分。ピアノとバイオリン、チェロ、フルートの合奏と歌唱、朗読で構成し、戸川さんが描き下ろした10枚のイラストを舞台上に投影する。

 企画したのは、いずれもエリザベト音楽大3年のソプラノ歌手村田菜(さい)さん(21)とピアニスト汲地(くむじ)紗弥さん(20)。明子さんが残した日記を基に、台本を共同執筆した。2人の熱意に賛同した教員、学生たちが作曲や演奏を担う。

 戸川さんは2016年に出版した絵本「シュモーおじさん」で、広島の復興を支援した米国の平和活動家フロイド・シュモーを描いた。村田さんと汲地さんはこの絵本に感動し、戸川さんにイラスト制作を依頼。「私たちと同じように『20歳になったら…』と夢を抱いていた明子さんの素顔を伝えたい―という思いを受け止め、素晴らしいイラストを描いて下さった」と2人は感激する。

 公演本番では、明子さんの遺品の被爆ピアノを汲地さんが奏でる。14日は午後1時からエリザベト音楽大ザビエルホール、15日は午後6時半から平和記念公園内のレストハウスで開催。入場無料。未就学児も保護者同伴で入場できる。

(2024年9月7日朝刊掲載)

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