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デジタル技術で被爆体験伝承 広島市、市立大と共同研究 DB化や検索システム

 広島市は6日、人工知能(AI)などのデジタル技術を活用した被爆体験資料のデータベース(DB)化と検索システムの開発に向けて市立大(安佐南区)と共同研究を始めると発表した。被爆者の高齢化が進む中、「あの日」の記憶を伝える新たな手法として2029年度の運用開始を目指す。

 DBは、市と国が収集した被爆体験記や被爆者の証言ビデオ、原爆写真、原爆の絵などを集約する。検索システムは、音声で質問するとAIがDB内の資料を選び出して回答する仕組みで、中区の原爆資料館と国立広島原爆死没者追悼平和祈念館を訪れる修学旅行生たちの利用を想定している。

 市は被爆80年事業に位置付け、24年度一般会計当初予算で関連費用100万円を確保。この日、市立大と研究に向けて契約を締結した。広島平和研究所と、情報通信技術(ICT)を研究している情報科学部があり、25~28年度も助言や指導を受ける。

 市平和推進課は「被爆者がいなくなる時代を見据え、被爆者の思いや体験に触れられる平和学習のツールとして役立てたい」としている。別に、AIを活用して画面上の被爆者と疑似対話ができる装置の開発も進めている。(野平慧一)

(2024年9月7日朝刊掲載)

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