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病気の被爆イチョウ治したい 20~23日 広島の浄西寺でマルシェ 枝や落ち葉 雑貨にして販売

 浄土真宗本願寺派浄西寺(広島市中区)に立つ樹齢106年の被爆イチョウが、3年ほど前から病気だという。「原爆の生き証人」に広く関心を持ってもらい、少しでも治療費に充てようと20~23日に同寺でささやかなマルシェが開かれる。イチョウの枝や落ち葉を活用した手作りの品などを販売する。

 趣旨に賛同したアクセサリー作家、かつお節店や洋菓子店などが参加。藤枝啓称(けいしょう)副住職(28)もイチョウの葉をあしらった書道作品などを出品する。枝と和紙を組み合わせた壁掛け作りのワークショップもある。

 イチョウは1918年、寺の説教所を水主町(現中区住吉町)に開設した際に植えられた。79年前、爆心地から1・4キロで被爆した。隣に工場の塀があったため熱線が遮られ、イチョウは幹の一部が焼けたものの助かったという。

 だが寺町(現中区)にあった本堂は全焼。藤枝さんの祖父で22歳だった前住職の故信珠(しんじゅ)さんが戦後に学徒動員から復員し、門徒とともに現在地での再建に奔走した。

 「前住職は病死した父に次いで原爆で母と寺を失った。被爆後も生きて成長するイチョウに、思うところがあったのだろう」と藤枝さんは推し量る。本堂を建て替えた際も、狭い土地ながらイチョウは伐採せず、入り口階段のコンクリートを丸くくりぬき幹を通した。

 幹の成長に合わせてこれまで階段を3回削って穴を広げている。保存に苦心を重ねてきたが、約3年前にウイルス性の病気になり、夏も落葉するように。1回30万円余の剪定(せんてい)費用に加え、消毒液の散布が必要になった。

 広島市は「被爆樹木」として159本を登録して保存を推進している。うち59本は民間所有で、治療などを施す場合は1件60万円を上限に補助制度がある。藤枝さんは市への相談を重ねると同時に、自分たちにできる活動を、とマルシェを企画した。「公孫樹(いちょう)に集う会」として昨年から春と秋に開いている。

 「被爆樹木や平和を考える機会にもなってほしい」と藤枝さん。3日間とも午前9時~正午。同寺☎090(3378)5288。(新山京子)

(2024年9月16日朝刊掲載)

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