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被爆80年の来年 広島開催 核廃絶目指すパグウォッシュ会議 20年ぶり3回目

 核兵器廃絶を目指す科学者たちの国際組織「パグウォッシュ会議」は12日、被爆80年の2025年に広島市内で第63回世界大会を開くことを決めた。オーストリア・ウィーンであった評議会で了承された。広島開催は05年以来3回目。国内外の研究者や政府関係者らが核兵器や戦争のない世界の実現に向け議論する。

 日程は8月31日あるいは11月1日からいずれも5日間で、今後詰める。約40カ国から約200人の参加を見込み、一部は一般公開する。討論や講演、被爆者たちとの対話を経て「広島宣言」として提言のとりまとめを目指す。学生や若手研究者の「ヤングパグウォッシュ会議」なども開く。

 パグウォッシュ会議は1957年にノーベル物理学賞受賞者らを中心に発足。科学的根拠を示しての提言や対話の呼びかけは部分的核実験禁止条約(PTBT)や核拡散防止条約(NPT)の成立に影響を与え、95年にノーベル平和賞を受賞した。被爆80年の世界大会は、核大国のロシアによるウクライナ侵攻などで緊迫する世界に対し被爆地から警鐘を鳴らす機会となる。

 日本では広島で95年と2005年、長崎では15年に開催した。共催する日本パグウォッシュ会議の代表、稲垣知宏広島大教授(物理学)は「世界のオピニオンリーダーや研究者に再び広島に集結してもらい、力強い発信をしたい」と話している。(小林可奈)

パグウォッシュ会議
 米ソ冷戦の水爆実験競争に危機感を持った湯川秀樹氏ら世界の著名な物理学者や哲学者たちによる「ラッセル・アインシュタイン宣言」(1955年)を受け、57年に発足。日本からは朝永振一郎氏らも加わり、カナダ・パグウォッシュ村で初会議を開いたことが名前の由来。現会長は、元イラク石油相で旧フセイン政権下では核開発を拒否して11年間収監された核化学研究者フセイン・シャハリスタニ氏。

(2024年9月14日朝刊掲載)

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