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韓国人被爆者「支援続ける」 姜鎬曽・駐広島韓国総領事インタビュー 日韓国交60年 青少年の交流促進に意欲

 駐広島韓国総領事館(広島市南区)の新しい総領事に就任した姜鎬曽(カン・ホズン)氏(57)が中国新聞のインタビューに応じた。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による現職初の広島訪問など日韓関係の改善を歓迎し、韓国人被爆者を支援する韓国政府の姿勢を強調した。(聞き手は石川昌義)

  ―尹大統領が昨年5月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)を機に広島市を訪問し、同年9月に在日韓国人被爆者を旧大統領府「青瓦台」に招きました。尹政権の対応をどう受け止めましたか。
 平和記念公園(中区)にある韓国人原爆犠牲者慰霊碑前で尹大統領と岸田文雄首相が並んで追悼したことは、日韓の歴史を変えた。ことしも8月5日に在外同胞庁のトップが慰霊碑を訪れ追悼行事に参加した。大統領の強い意向があった。韓国政府は今後も被爆した韓国人や日本で暮らす同胞への支援を続けていく。

  ―岸田政権の日韓外交をどう評価しますか。
 途絶えていたシャトル外交を復活させた。「未来志向」を掲げた日韓共同宣言を1998年にまとめた金大中(キム・デジュン)大統領と小渕恵三首相の時代のような良好な関係といえる。

 北東アジアを巡る問題は、安全保障や気候変動など数多い。「未来のために」という両首脳の思いが一致し、日韓関係を改善に導いた。日本の次期首相も今の日韓関係を引き継いでほしい。

  ―日韓国交正常化60年になる来年へ向けて、何に取り組みますか。
 民間交流、特に青少年の交流を進めたい。「同じ釜の飯を食う」という日本の言葉がある。韓国と日本の若者が直接触れ合う機会をつくりたい。

  ―昨年7月、広島空港(三原市)に就航した韓国の格安航空会社(LCC)チェジュ航空のソウル便は1月から1日2往復に増便されました。韓国との航空路線の今後への期待は。
 広島空港は中国地方の中心にあり、交流の要所だ。ソウル便の本年度上半期の利用は好調で、搭乗者数は昨年度を大きく上回ることは確実だ。広島市の姉妹都市の大邱(テグ)市、韓国第2の都市の釜山への直行便があるのは、ビジネスや観光の観点から望ましい。民間の動きになるが、誘致にできることがあれば頑張りたい。

姜鎬曽氏
 1967年、韓国・慶尚南道出身。釜山大卒。91年に外務部職員になり、ミャンマー、ブルネイ、中国、パプアニューギニアで海外勤務を経験。日本は札幌、東京、大阪で勤務した。趣味は温泉巡りと囲碁。韓国棋院に移籍した仲邑菫(なかむら・すみれ)三段の活躍に注目している。妻と長女はソウル市で暮らす。

(2024年9月19日朝刊掲載)

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