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日米 抑止力向上確認 岸田首相最後の首脳会談 クアッドも

 岸田文雄首相は21日(日本時間22日)、米東部デラウェア州ウィルミントンにあるバイデン大統領の私邸で日米首脳会談をした。ともに退任を控える両首脳の会談は最後になる見通し。日米同盟の抑止力と対処力をさらに向上させると一致し、次期政権の進むべき方向性を打ち出した。(ウィルミントン発 宮野史康)

 両首脳は同盟の強化に貢献してきた互いの功績をたたえ合った。米国が核兵器を含む戦力で日本防衛に関与する「拡大抑止」の強化をうたった4月の共同声明に基づき、安全保障の協力を着実に進めると合意。日米が「自由で開かれた国際秩序の中核を担うグローバル・パートナーであり続ける」との共通認識も固くした。

 東・南シナ海で海洋進出を図る中国への反対姿勢をあらためて確認。ウクライナ支援とロシアへの厳しい制裁の継続、北朝鮮の核・ミサイル開発、拉致問題でも意見交換した。

 会談は約1時間。岸田首相は「核兵器のない世界」に向け、日米がともに取り組みを主導する重要性を強調した。経済分野では、日本は米国への最大の投資国として貢献していると説明した。

 会談後は、ウィルミントン近郊で日米豪印4カ国の協力枠組み「クアッド」首脳会合に臨んだ。岸田首相は「自由で開かれたインド太平洋」を目指す上で「強固なコミットメント(関与)を国際社会に示し続けていくことは重要だ」と訴えた。

 会合後に出した共同声明は、力や威圧による現状変更の試みに強く反対する姿勢を強調。中国を念頭に「最近の海洋における危険で攻撃的な行動に深刻な懸念」を示した。北朝鮮を名指しし、弾道ミサイルの発射と継続的な核開発を非難した。

 インド太平洋地域で船舶の動きを合同で監視する「シップ・オブザーバー・ミッション」を来年始めると表明。日本の海上保安庁と米豪印の沿岸警備当局が連携を強める。国連安全保障理事会の拡大、インド太平洋地域の通信網整備、子宮頸(けい)がん対策の協力も盛り込んだ。

(2024年9月23日朝刊掲載)

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