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保有国巻き込んだ核軍縮前進なるか 岸田首相、在任最後の訪米

 岸田文雄首相は21日、国連総会に合わせた米国訪問に出発した。在任中、最後の海外訪問となる。ライフワークとする「核兵器のない世界」に向け、核兵器の原料生産を禁じる兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の交渉開始を目指した初めての友好国(フレンズ)会合を開催。核保有国を巻き込んだ核軍縮を前に進められるかが、焦点となる。

 フレンズ会合は23日に国連本部で開く。参加するのは米英仏の核保有国や日本、オーストラリア、フィリピンなど12カ国。岸田首相は演説し、他国は「ハイレベル」と呼ばれる閣僚級たちが自国の立場を表明する。

 退任間際の開催には「首相の強い思い」(政権幹部)がにじむ。米大統領による提案から30年余り制定交渉すら始まっていないが、条約ができれば核兵器の製造に歯止めをかけられる。各国にはフレンズ会合に閣僚級以上の出席を呼びかけており、外務省によるとオーストラリアとフィリピンは外相が参加する見通しという。

 バイデン大統領とは政権の3年間の締めくくりに首脳会談を設けた。日米同盟の強化を内外に印象付ける。米時間の21日午前に東部デラウェア州にある米大統領の私邸を訪問。ウクライナや中東、軍事増強を続ける中国などの国際情勢を念頭に、核戦力を含む拡大抑止を強化してきた経緯を踏まえて議論する。

 バイデン氏は首相と同じく退任が決まっている。外務省幹部は「私邸への招待は岸田さんを重んじている証し」とみる。同日午後(日本時間22日)には日米豪印4カ国の協力枠組み「クアッド」の首脳会合も予定する。

 訪米中には温暖化対策など地球規模の課題を話し合う国連未来サミットにも出席し、演説する。

 国連総会での一般討論演説は見送り、国連大使に任せる。自民党総裁選の投開票を優先した。(宮野史康)

(2024年9月22日朝刊掲載)

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