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平和公園周辺の高潮対策工事 来秋に整備案提言へ 国交省有識者委が初会合 景観・文化財にも配慮

 平和記念公園(広島市中区)周辺で計画されている高潮対策の工事を巡り、国土交通省は24日、有識者による検討委員会の初会合を広島市中区で開いた。公園や周辺の川沿いには世界遺産・原爆ドームや多くの原爆犠牲者の慰霊碑がある。検討委は治水や景観、文化財保護の観点からの意見を集め、2025年秋をめどに整備案を国へ提言する。(伊藤友一)

 検討委は河川工学や景観、文化財などの有識者8人で構成。来年秋までに計4回ほど会合を開き、景観や観光に配慮した高潮対策▽工事中の公園周辺の景観や利用への影響▽文化財などへの影響-などを検討する。市民からの意見も募集し、整備案を具体化する。

 初会合では、太田川河川事務所の担当者が公園そばの元安川と本川の堤防の改修計画を説明。台風による高潮を防ぐためには最大2メートルのかさ上げが必要とした。一帯には慰霊碑25カ所、樹木約700本、雁木(がんぎ)35カ所などがあり、景観や文化財などに配慮した工法を課題に挙げた。

 慰霊碑の移設の必要性について、同事務所は「具体的な整備内容が決まるまでは分からない」と説明している。

 会合後、委員長に就いた東京工業大の中村良夫名誉教授(86)=景観工学・風土学=は「技術的な視点だけではなく、市民の生活が検討の根本にある。防災を中心に具体化したい」と話した。

(2024年9月25日朝刊掲載)

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