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社説・コラム

永田町発 核禁条約の批准 大半が消極姿勢 自民総裁選

 自民党総裁選の立候補者の大半が核兵器禁止条約への署名、批准に消極的な姿勢を示している。中国新聞などの取材に応じた8人のうち半数の4人が慎重な見解を示し、2人は反対した。禁止条約への参加より、安全保障環境の厳しさを理由に米国の「核の傘」の下での抑止力強化を重んじる姿勢が目立った。

 署名国が90カ国・地域を超えた禁止条約への向き合い方について、茂木敏充幹事長を除く8候補がインタビューまたは書面で回答した。

 署名、批准に慎重だったのは小林鷹之前経済安全保障担当相▽林芳正官房長官▽上川陽子外相▽加藤勝信元官房長官―の4人。小林氏は中国などを念頭に「核の傘で脅威に向き合っていることを現実的に考えるべきだ」と主張。加藤氏は「核兵器を縮減する道筋を保有国を含めて議論すべきだ」と訴えた。

 林氏と上川氏は岸田政権の姿勢を踏襲。林氏は「安全保障を損ねることなく核のない世界に進むことが重要」と話し、上川氏は「現実を直視し、国の安全保障を確保しつつ核兵器のない世界に努力するべきだ」とした。

 反対したのは河野太郎デジタル相と高市早苗経済安保相の2人。河野氏は「拡大抑止を周辺国に認識させることが喫緊の課題」と指摘。高市氏は「抑止力に頼らないという覚悟を持たない限り(署名、批准は)難しい」と強調した。

 唯一、オブザーバー参加を「選択肢」としたのは石破茂元幹事長。ただ核抑止の強化も必要とし「核で脅しても意味がないと(他国に)理解させることが重要」とした。

 小泉進次郎元環境相は唯一、見解を明言しなかった。「核なき世界を推進する岸田政権の思いは引き継ぎたい」などと話した。(中川雅晴)

(2024年9月25日朝刊掲載)

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