『生きて』 ポプラ名誉会長 目黒俊治さん(1943年~) <15> 変わる小売業
24年9月26日
ノウハウを未来へ託す
これからの小売りは宅配がメインになるだろうと思うね。ほとんど賄えるんじゃないか。利便性でやっとるだけのコンビニはもう要らんわね。コンビニは宅配の本拠地みたいな形になるかもしれん。人手不足でオーナーを見つけるのも難しくなっている。
寡占化が進んで小さいスーパーはほとんどなくなったし、大型のスーパーもディスカウントでまとめて売るというのは、もう優位性がなくなるんじゃないかね。宅配の発注システムが進化すれば、ジャストインタイムで便利で安い。「触って見て買うのを楽しむ」みたいな感覚が、この先どこまで残るかな。冷凍食品の普及も小売りの形を変えていくだろう。
ローソン・ポプラはローソンと一緒に頑張って生き残るだろうね。だんだんそっちが強くなってきて、ポプラ本来のフランチャイズシステムでやっている店はだいぶ減ったなあ。でも、ポプ弁だけは残したい。もともとメーカーだったからね。自分のつくったノウハウで、唯一守ってきたポプラの原点みたいなものだから。
≪5月30日、80歳で名誉会長に退いた≫
ナショナルチェーンが強烈に強い業界よ。セブン―イレブン、ローソン、ファミリーマートにミニストップ。あと頑張っているのは北海道のセイコーマートとデイリーヤマザキとうちぐらい。振り返ると、セブンと同じ時からコンビニをやりよるんじゃけえ、どうしても対抗したいという気持ちはあった。
経営の環境が変化する中で、対応が遅れたのは事実だね。でも小売業というのは強いなあ。強いよね。現金商売だから。そういう意味では好きだね。他にやることがなかったというのもあるけど、なぜか商売はうまかったよ。きっと商売人だったおふくろ似なんだろうね。=おわり (この連載は報道センター経済担当・森岡恭子が担当しました)
(2024年9月26日朝刊掲載)