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核廃絶へ 李さんの遺志継承 中区 家族や関係者 思い出語る

 在日韓国人被爆者として被爆や差別の体験を証言し続け、2022年に93歳で亡くなった李鍾根(イ・ジョングン)さんの遺志を引き継ぐ集いが29日、広島市中区の原爆資料館であった。家族や関係者が思い出を語り、核兵器廃絶への決意を新たにした。

 李さんは16歳の時、爆心地から約2キロの荒神橋近くで被爆。在日韓国人2世で被爆者という事実を隠していたが、12年の世界一周の航海旅行で体験を語ったのを機に実名での証言を始めた。

 集いでは、次女の千代さん(54)=安佐南区=が証言を始めた李さんを「生き生きしていた。やりがいを感じていたと思う」と振り返った。韓国原爆被害者対策特別委員会の権俊五(クォン・ジュノ)委員長(75)=西区=は「若い人たちに過去の戦争の責任はないが、平和な未来をつくる責任はある」という李さんの言葉を紹介した。

 韓国の原爆被害者を救援する市民の会広島支部が主催し、約100人が参加した。李さんに代わって体験を語る「被爆体験伝承者」を目指している主婦茂津目恵さん(52)=東区=は「人柄も含め、埋もれてしまわないように次世代に伝えたい」と話した。(鈴木大介)

(2024年9月30日朝刊掲載)

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