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イケてない?「新たな視点」 中国新聞読者と報道委 被爆記録連載「毎日掲載に意義」

 中国新聞の報道に社外の有識者が提言する「読者と報道委員会」の第68回会合が2日、広島市中区の中国新聞ビルであった。市民の記録や証言を基に原爆投下の年を1日ごとにたどる「ヒロシマ ドキュメント」、広島県の人口流出の謎に迫る「イケてない?広島」、バスケットボール男子Bリーグ王者の「広島ドラゴンフライズ」の報道を巡り、委員3人が編集局幹部たちと意見を交わした。

 広島大名誉教授の森辺成一さん(66)、弁護士の中村健太さん(47)、NPO法人もりのこえん代表理事の井出崎小百合さん(57)の3人が高本孝編集局長の司会で議論した。

 「ヒロシマ ドキュメント」について、森辺さんは「客観的な文書記録と写真で事実を語らせ、抑えたトーンが読者の胸を打つ。英語版も作り、世界に発信を」と提起した。井出崎さんは「戦争にノーと言い続ける記事が終戦の日前後だけでなく、毎日あることに意義がある」と評価した。

 「イケてない?広島」に関し、森辺さんは「コンサートの『広島飛ばし』など、若者の生活の質に関わる文化的な側面に光を当て、視点の新しさを感じる」と指摘。中村さんは「記者座談会の記事にあるように、広島の魅力や面白い人の情報が伝わらず、若者が流出しているならもったいない。そこをもっと伝えてほしい」と求めた。

 ドラフラ報道で、井出崎さんは「優勝報告会がマツダスタジアムであるなど(競技の)垣根を越えた応援が見え、温かい気持ちになった」と語った。中村さんは「他紙にない記事量で、詳しくなれた」と歓迎し、「今後は初心者向けの解説記事があってもいい」と期待した。(余村泰樹)

(2024年10月3日朝刊掲載)

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