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長崎にも「ピース」スタジアム ホテルや商業施設併設 14日本格開業

 広島市に続き、もう一つの被爆地長崎市のまちなかに「ピース」を冠したサッカースタジアムが誕生した。民間が約1千億円を投じた「長崎スタジアムシティ」は「ピーススタジアム」を中心に、アリーナやホテル、商業施設、オフィスを併設。若者が余暇や仕事で集う街を目指し、14日に本格開業する。(川上裕)

 JR長崎駅から北に徒歩10分ほどに立地。スタジアムは2万人収容で、J2V・ファーレン長崎の新本拠地となる。ピッチと客席は最短5メートル。2月に開業したJ1サンフレッチェ広島の本拠地エディオンピースウイング広島(広島市中区)の8メートルより近い。国内のスタジアムで初めてビールの醸造所を備え、観戦客にクラフトビールを提供する。

 東に隣接する14階建てホテル(243室)の約7割の部屋からピッチを一望でき、プールやサウナからも見下ろせる。スタジアム北側のオフィス棟と南側の商業棟をケーブルで結び、ピッチ上空を約30秒かけて滑走する「ジップライン」(1回2500円)は、試合のない日も楽しめる仕掛けだ。

 6千人収容の「ハピネスアリーナ」はバスケットボール男子Bリーグ1部(B1)の長崎ヴェルカが本拠地として使う。コンサートやイベントでの利用も想定する。

 通信販売大手ジャパネットホールディングス(長崎県佐世保市)が三菱重工業の工場跡地7・5ヘクタールを取得して整備した。今月4日にアリーナでB1、6日にスタジアムでJ2の初戦を開催。13日にスタジアムで地元出身の歌手福山雅治さんのライブがあり、14日に商業施設を含めて本格開業する。

 運営を担うジャパネットのグループ会社の岩下英樹社長は「スポーツを中心とした民設民営のまちづくりが全国に広がってほしい。次に続く地域が出るよう事業として成立させる」と意気込む。

ホテルの一室「サンフレ」ボックス席

 長崎市のピーススタジアムに隣接したホテル5階の一室には、ドアや室内のカーペットにV・ファーレン長崎とサンフレッチェ広島のエンブレムが施されている。サッカーの試合では観戦用のボックス席となり、試合のない日はベッドを出して宿泊できる。

 ホテルとスタジアムの運営会社が、平和のメッセージを伝える「プレイフォーピース」事業の一環で、両クラブ仕様の部屋を設けた。ほかに、連携しているドイツ1部シュツットガルトなど海外4クラブの各室がある。

 これまで、V・ファーレン長崎はサンフレとともに被爆地のクラブとして連携して平和を発信してきた。2018年8月には「ピースマッチ」を広島市安佐南区のエディオンスタジアム広島(当時)で開催した。

 長崎県出身でサンフレのエースストライカーだったV・ファーレン長崎の高木琢也取締役(56)は広島へ思いを寄せ「街の歴史を含めて、共通している。早く昇格して広島とピースマッチをしたい」。チームはJ1昇格争いの真っただ中におり、来年の被爆80年での再現を期す。(川上裕)

(2024年10月7日朝刊掲載)

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