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コイに恋する訪日客 マツダスタジアム 目立つ外国人 「赤一色を見たい」「日本野球に興味」

「被爆復興の支え」に関心も

 広島市南区のマツダスタジアムで今季、広島東洋カープの試合を楽しむ外国人が目立った。「赤一色の球場を見たい」「強い日本野球に興味があった」など動機はさまざまだが、「復興を勇気づけたと聞いた」と被爆地にリンクさせて訪れる姿も見られた。広島へのインバウンド(訪日客)が増加する中、世界に通じる観光資源としてカープの存在感が増している。(岸慶太)

 新型コロナウイルス禍を経て昨季から再び入場可能になった内野自由席。常連ファンによると、当日券を入手しやすいため訪日客の姿が目立ったという。9月中旬、カープに似た赤いキャップの男性がいた。秋山翔吾選手も在籍した米大リーグ、レッズの本拠地シンシナティから家族で訪れた株式ブローカー、ウィリアム・ロクスターカンプさん(28)だ。

 秋山選手の安打に歓声を上げたウィリアムさんは「レッズとカープはユニホームも似ていて縁がある。きょうを楽しみにしていた」。父のジョーンさん(60)は、近くのファンと一緒にジェット風船を飛ばした。「誰もが親切で礼儀正しく、広島という街とカープの『永遠のファン』になった」と感激していた。

 日本野球が気になっていたという人も多い。オーストラリアから友人と訪れた看護師カリーナ・ティサナさん(24)は大リーグを毎日チェックする野球ファンだ。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での日本の活躍を引き合いに「米国に勝つ強さは謎だった。黒田博樹(元投手)を生んだカープを一度見たかった」と話す。

 応援歌を口ずさんだりメガホンをたたいたりする独特の応援スタイルも受け入れられている。

 ドイツの大学生レナート・ウェッシュさん(24)は大阪でのパ・リーグの試合に続いて観戦。「基本のルールしか分からないけど、応援にはまった。屋外で見る野球、赤一色に染まる球場は爽快」と満喫した。英国の会社員ミーガン・フレンチさん(36)は「みんなが試合と応援に集中して雰囲気が良い。原爆資料館で広島の過酷な歩みに触れ、球場でカープの成功を実感できた」と話した。

 カープ観戦に訪れた訪日客に尋ねると、ほぼ全員が原爆ドーム(中区)などの見学に合わせて球場に来ていた。台湾から友人と訪れた会社員張俊宏さん(25)は「復興の中で人々の心の支えになったと聞き、カープが気になった。球場でのファンの熱い声援を聞くと、市民のカープ愛と歴史の片りんに触れられた気がする」と満足そうだった。

(2024年10月8日朝刊掲載)

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