緑地帯 石原香絵 地域のフィルムは地域で守る⑥
24年10月8日
この春、旧知のフィルムアーキビスト森宗厚子さんが広島市映像文化ライブラリーの映像文化専門官に着任した。各地で映画上映の経験を積んできた彼女がキャリアの集大成の場として広島を選んだのだから、何か面白いことが起こるに違いない。さっそくライブラリーの国際的な知名度の向上にも意欲を見せている。
世界80カ国のフィルムアーカイブを結ぶ国際フィルムアーカイブ連盟(FIAF)では昨今、アジア、アフリカ、南米のフィルムアーキビストの活躍が目覚ましい。タイ・フィルムアーカイブのチャリダー・ウアバムルンジットもその一人。世界を舞台に活躍してきた彼女は映画「フィルム 私たちの記憶装置」の中で「実は私がこの仕事の意義深さを感じるのは、持ち主と一緒にホームムービーを上映するときだ」と語る。
福岡市総合図書館がFIAFに加盟した際は、アジア映画の充実したコレクションに加え、ローカルな映像や個人作家のコレクションが高く評価されたという。1970年代をピークに庶民に普及した8ミリフィルムを使って撮影された子どもの成長や家族旅行の記録は、きっと広島にも多く残っているだろう。撮影から40年、50年と時が過ぎると、プライベート・フィルムが歴史的な価値をまとうようになる。広島市映像文化ライブラリーも移転とともに予算や人員を拡充し、地域や家庭に眠るフィルムを次世代へと引き継ぐ拠点となってほしい。(NPO法人映画保存協会代表=東京都)
(2024年10月8日朝刊掲載)
世界80カ国のフィルムアーカイブを結ぶ国際フィルムアーカイブ連盟(FIAF)では昨今、アジア、アフリカ、南米のフィルムアーキビストの活躍が目覚ましい。タイ・フィルムアーカイブのチャリダー・ウアバムルンジットもその一人。世界を舞台に活躍してきた彼女は映画「フィルム 私たちの記憶装置」の中で「実は私がこの仕事の意義深さを感じるのは、持ち主と一緒にホームムービーを上映するときだ」と語る。
福岡市総合図書館がFIAFに加盟した際は、アジア映画の充実したコレクションに加え、ローカルな映像や個人作家のコレクションが高く評価されたという。1970年代をピークに庶民に普及した8ミリフィルムを使って撮影された子どもの成長や家族旅行の記録は、きっと広島にも多く残っているだろう。撮影から40年、50年と時が過ぎると、プライベート・フィルムが歴史的な価値をまとうようになる。広島市映像文化ライブラリーも移転とともに予算や人員を拡充し、地域や家庭に眠るフィルムを次世代へと引き継ぐ拠点となってほしい。(NPO法人映画保存協会代表=東京都)
(2024年10月8日朝刊掲載)