備後の被爆者ら喜びの輪 ノーベル平和賞に日本被団協
24年10月12日
ノーベル平和賞に被爆者の全国組織、日本被団協が決まった11日、備後地方の被爆者や平和活動に取り組む若者たちからも喜びの声が上がった。被爆80年を前にした吉報に、核兵器廃絶の実現に期待を込めた。
「取り組みが国際社会に認められ、苦労が報われた気分。反核平和を訴える団体は多いが、実際に被爆した人の声には重みがある」。三原市原爆被害者之会の苞山(ほうやま)正男会長(95)は声を弾ませた。
2020年に解散した尾道市の御調町原爆被害者協議会の元会員、金野鈴恵さん(81)は2歳で被爆した。「今も戦争があちこちで起こり、核を使おうとする国はなくならない。受賞は皆さんに平和について考えてほしいということだと思う」と受け止めた。
被爆2世たちにも歓喜の輪が広がった。「戦争は駄目、核兵器は駄目と言い続けてきたことが世界に認められた」と福山市原爆被害者友の会の猪口(いのくち)武司会長(72)。尾道市の尾道地区原爆被害者の会の畑山利一会長(73)は「日本は米国の核の傘に入り、依存している。国民が再度平和について考えるきっかけになれば」と望んだ。父と母が被爆し、小学校などで平和への願いを発信する「折りばら」を教えている宇田賢吉さん(84)=福山市水呑町=も「平和活動をする全ての人が認められたようだ」と語った。
未来を担う若者たちは恒久平和に向けた思いを新たにした。福山市千田町の盈進高2年のヒューマンライツ部部長、大下真緒さん(17)は被爆証言の聞き取りなどに取り組んできた。「私たちは被爆者の生の声を聞ける最後の世代。交流サイト(SNS)なども活用し、核兵器廃絶に向けた活動を世界に広めたい」
19年に第22代高校生平和大使を務めた山梨県都留市の大学生北畑希実さん(22)=尾道市因島土生町出身=は「世界的な賞の獲得で世界から注目を浴びる。私も声を伝え続けていく世代として、被爆者たちの思いをつなげていく」。第26代平和大使として昨年8月にスイス・ジュネーブの国連欧州本部を訪れた福山暁の星女子高3年の永戸ももさん(17)=福山市神辺町=は「受賞は核廃絶に近づく一歩になる」と力を込めた。
(2024年10月12日朝刊掲載)
「取り組みが国際社会に認められ、苦労が報われた気分。反核平和を訴える団体は多いが、実際に被爆した人の声には重みがある」。三原市原爆被害者之会の苞山(ほうやま)正男会長(95)は声を弾ませた。
2020年に解散した尾道市の御調町原爆被害者協議会の元会員、金野鈴恵さん(81)は2歳で被爆した。「今も戦争があちこちで起こり、核を使おうとする国はなくならない。受賞は皆さんに平和について考えてほしいということだと思う」と受け止めた。
被爆2世たちにも歓喜の輪が広がった。「戦争は駄目、核兵器は駄目と言い続けてきたことが世界に認められた」と福山市原爆被害者友の会の猪口(いのくち)武司会長(72)。尾道市の尾道地区原爆被害者の会の畑山利一会長(73)は「日本は米国の核の傘に入り、依存している。国民が再度平和について考えるきっかけになれば」と望んだ。父と母が被爆し、小学校などで平和への願いを発信する「折りばら」を教えている宇田賢吉さん(84)=福山市水呑町=も「平和活動をする全ての人が認められたようだ」と語った。
未来を担う若者たちは恒久平和に向けた思いを新たにした。福山市千田町の盈進高2年のヒューマンライツ部部長、大下真緒さん(17)は被爆証言の聞き取りなどに取り組んできた。「私たちは被爆者の生の声を聞ける最後の世代。交流サイト(SNS)なども活用し、核兵器廃絶に向けた活動を世界に広めたい」
19年に第22代高校生平和大使を務めた山梨県都留市の大学生北畑希実さん(22)=尾道市因島土生町出身=は「世界的な賞の獲得で世界から注目を浴びる。私も声を伝え続けていく世代として、被爆者たちの思いをつなげていく」。第26代平和大使として昨年8月にスイス・ジュネーブの国連欧州本部を訪れた福山暁の星女子高3年の永戸ももさん(17)=福山市神辺町=は「受賞は核廃絶に近づく一歩になる」と力を込めた。
(2024年10月12日朝刊掲載)