「被爆者の訴え 世界共通の認識に」 日本被団協 ノーベル平和賞会見 核共有「論外 怒り心頭」
24年10月13日
2024年のノーベル平和賞に決まった被爆者の全国組織、日本被団協は12日、東京都内で記者会見を開いた。半世紀にわたって運動に関わってきた田中熙巳(てるみ)代表委員(92)は「被爆者の訴えを世界共通の認識にする素晴らしい判断だ」と語り、核兵器をなくす運動への強力な追い風を歓迎した。(宮野史康)
会見で「今の核情勢は本当に厳しい。核戦争が起きるかもしれない」と強調。被団協の受賞は緊急の核廃絶を求めるノーベル賞委員会の危機感の表れと位置づけた。被団協が核兵器を投下した米国に謝罪を求めている点にも触れ「米国に気兼ねしていられる状況ではないということだ」と分析した。
13歳の時に長崎で見た原爆の惨状にも触れた。親族5人を失い、市内には遺体が散乱した。「こういう殺し方はしてはいけない。犯罪的な兵器。兵器に値しない悪魔の道具だ」と訴えた。さらに「核をなくす運動は被爆者ではなく、人類の課題だ。一緒にやろう」と呼びかけた。
ノーベル賞委員会は、被団協の努力が「核のタブー」に貢献してきた点を評価した。和田征子事務局次長(80)は「核兵器を使わせなかったのは、被爆者の証言、運動だ。核による抑止力ではない。世界の人が分かってくれた」と感じ入った。
石破茂首相が持論とする核共有や核兵器の国内持ち込みへの言及もあった。田中さんは「論外だ。怒り心頭。ぜひ会って徹底的に議論したい」。和田さんも「日本が核兵器の加害国になるかもしれない。許してはいけない」と同調した。
各地の役員もオンラインで参加した。田中重光代表委員(83)は「私たちの先輩が差別や偏見、健康の問題を抱えながら、国内外で被爆体験を語ってきた。だんだん雨水のように浸透し、核兵器禁止条約につながった。私たちは正しい道を歩んでいた」と感極まった。
広島県被団協理事長の箕牧(みまき)智之代表委員(82)も先人に敬意を示し、結成68年の歩みに思いをはせた。木戸季市事務局長(84)は、一報を受けてさらに決意を強めた。「人生の集大成が核兵器のない世界をつくることになった。最後の生き方が示されたことに感謝している」
(2024年10月13日朝刊掲載)
会見で「今の核情勢は本当に厳しい。核戦争が起きるかもしれない」と強調。被団協の受賞は緊急の核廃絶を求めるノーベル賞委員会の危機感の表れと位置づけた。被団協が核兵器を投下した米国に謝罪を求めている点にも触れ「米国に気兼ねしていられる状況ではないということだ」と分析した。
13歳の時に長崎で見た原爆の惨状にも触れた。親族5人を失い、市内には遺体が散乱した。「こういう殺し方はしてはいけない。犯罪的な兵器。兵器に値しない悪魔の道具だ」と訴えた。さらに「核をなくす運動は被爆者ではなく、人類の課題だ。一緒にやろう」と呼びかけた。
ノーベル賞委員会は、被団協の努力が「核のタブー」に貢献してきた点を評価した。和田征子事務局次長(80)は「核兵器を使わせなかったのは、被爆者の証言、運動だ。核による抑止力ではない。世界の人が分かってくれた」と感じ入った。
石破茂首相が持論とする核共有や核兵器の国内持ち込みへの言及もあった。田中さんは「論外だ。怒り心頭。ぜひ会って徹底的に議論したい」。和田さんも「日本が核兵器の加害国になるかもしれない。許してはいけない」と同調した。
各地の役員もオンラインで参加した。田中重光代表委員(83)は「私たちの先輩が差別や偏見、健康の問題を抱えながら、国内外で被爆体験を語ってきた。だんだん雨水のように浸透し、核兵器禁止条約につながった。私たちは正しい道を歩んでいた」と感極まった。
広島県被団協理事長の箕牧(みまき)智之代表委員(82)も先人に敬意を示し、結成68年の歩みに思いをはせた。木戸季市事務局長(84)は、一報を受けてさらに決意を強めた。「人生の集大成が核兵器のない世界をつくることになった。最後の生き方が示されたことに感謝している」
(2024年10月13日朝刊掲載)